第二十七話 質問
「ところで、なんで追いかけられてたの?」
「・・・それは」
俺が質問すると、レティシアは暗い顔をして視線を逸らした。レティシアは答えたくないようだが、俺は既にこの件には首を突っ込む気満々だ。なので、鑑定した事を使って聞き出そう。
「それってもしかして『次期魔王』って事が関係あるの?」
「っ!?何でそれを・・・?」
俺の言葉にレティシアは激しく動揺した。
「それで、どうなの?」
「・・・そうだよ、私は次の魔王。だから離れた方がいいよ」
「何で?」
「何でって・・・!?」
レティシアは今度は激しく驚いていた。
「だって魔王だよ!?・・・怖くないの?」
「うん、怖くないよ。だって私、強いから」
俺はそう言っマッスルポーズをとった。しかし少女の体だから力瘤も出来ず、すべすべの肌のままだった。
「プッ・・・。すごい自信なのね」
クスクスとレティシアは手で口元を隠しながら笑った。俺はそれを見て力を抜いた。
「それで、実際のとこは?」
「・・・貴女が強いとしてもそれは人にしては、でしょ?敵は悪魔なんだよ」
「大丈夫だよ。ほら」
俺はレティシアを安心させる為にそう言ってステータスカードを見せた。勿論、偽装済みのカードだが。
「これはステータスカード?・・・って、ええ!?悪魔殺し!?それに勇者や剣鬼の称号まで・・・」
「これなら大丈夫でしょ?」
俺は驚きで固まったレティシアにそう言いながらステータスカードを懐に収納した。
「貴女・・・何者?」
呆然とレティシアは俺にそう尋ねてきた。それに俺は微笑みながらこう答えるのだった。
「私?私はエリシア。悪魔殺しを成し遂げ、勇者の称号を与えられた冒険者だよ」




