第二十五話 金髪少女の正体
クロが捕獲した金髪少女は俺の姿を見ると、諦めたように身体の力を抜いた。
「・・・煮るなり焼くなり好きにしてください」
「ん、分かった。ならまずは捌かないとな」
俺はそう言いながら『無限収納』から巨大な牛刀を取り出すと、少女は慌てたように逃げようと身体をばたつかせた。
「すいません!やっぱりまだ死にたくないです!」
そして、逃げられずに涙ぐんだ目で俺を見た。
「・・・冗談だから安心しろよ」
俺は包丁を収納に戻しながら気まずくなって目を逸らした。
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少女が落ち着くまで俺は待つ事にした。その間に『鑑定』を使って少女の情報を得ようと思ったが、その行動を俺は後悔していた。
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名前 レティシア・アルフィータ
種族 吸血鬼
年齢 11歳
LV 23
職業 無し
スキル
影魔法LV5
細剣術LV3
暗視LV 3
採集LV 2
再生LV MAX
ユニークスキル
日光無効
瞬間再生
状態異常無効
天魔能力
憤怒
称号
デイウォーカー
真祖
次期魔王[憤怒]
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吸血鬼、それも次期魔王って厄介ごとの匂いしかしない。それも特大の。
「・・・すみません。取り乱してしまって」
「いや、別に良い。・・・所でなんでこんな所にいたの?」
俺は鑑定したことを言わない事にして、少女・・・レティシアに尋ねた。
「黙秘します。それより貴女も私に関わらない方が良いですよ」
「・・・それは一体どういう意味?」
「それは・・・」
レティシアが何かを言おうとしたその時、足音が近づいて来た。
そして、茂みからガラの悪い男がクロスボウを担ぎながら現れた。
「おーおーおー。漸く見つけたぜ。・・・ん?なんかガキも増えてるがまぁいいや。お前も取っ捕まえて売っぱらってやるよ」
男は下卑た笑みを浮かべながらそう言ってクロスボウをレティシアに負けた。
「早く逃げて!あいつの狙いは私だから!」
「いや、断る」
背後のレティシアはそう言うが、俺は退く気は無かった。此処で彼女を見捨てるのはとてもとても嫌だからだ。
「何でっ!?私の事、全く知らないでしょ!」
「ああ、知らないよ。だけど・・・ここで女の子を見捨てるような育てられ方はされてないからね」
俺はそう答えて腰に下げていた鋼製の片手直剣を抜いて男に構えた。
称号について説明します。
デイウォーカー
陽の光を克服した特殊な吸血鬼。日光無効のユニークスキルを持った吸血鬼にのみ贈られる。




