第十一話 さようなら、盗賊達
《・・・なあ》
カポカポと蹄を鳴らしながら歩いていたロウキーが声をかけてきた。
「如何した?ロウキー」
《いや、これで良かったのか気になってな》
「何が?」
要領を得ないロウキーに俺は首を傾げた。ロウキーは俺の反応を見て溜息を吐いた。・・・ロバも溜息が吐けるんだな。
《何がって、盗賊達のことだ。無力化せずに放ったらかしで良いのかってことだよ》
「ああ、それは大丈夫だよ」
《主人殿が言ってるんだから大丈夫っスよ》
《なら良いが・・・》
俺はロウキーに答えながら数時間前のことを思い出していた。
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数時間前・・・
「迷惑かけたな、嬢ちゃん」
「ええ、いきなり襲われたり三人分の治療をさせられたり・・・貴方達は一体何がしたかったんですか?」
「「「・・・」」」
俺が笑顔で毒を吐くと、盗賊三人は目を白黒させていた。
「冗談ですよ」
「ウフフ」と笑うと盗賊三人は少し引き気味に返事をした。解せぬ。
「・・・それじゃあ、私はそろそろ行きますね」
「あ、ああ。じゃあな」
俺はロウキーに跨ろうとしながら盗賊達に別れの言葉を言って、別れたのだった。
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《・・・まぁ、もう少ししたら村が見えてくるぞ》
「お、そうか。なら口調もそろそろ直しましょうか」
《主人殿は本当に猫被りが上手っスよね》
「酷い言い様ですね。これはお仕置きが・・・」
《すみませんでしたっスー!!!》
俺が少し睨むと、クロは大慌てで謝罪してきた。
《本当に賑やかな奴らだな・・・。おい、村が見えてきたぞ》
俺がクロを激しくモフっていると、ロウキーが声をかけてきた。
(夜になる前に到着出来て良かったな)
俺は夕焼けに染まり始めた空を見上げながら思うのだった。
クロ《いい加減モフるのは止めるっスー!》
エリシア「あ、ごめん」
ロウキー(やれやれだぜ・・・)




