第七話 猪肉ステーキとウサギのシチュー
「ふわぁ・・・。おはよう、クロ」
《おはようっス、主人殿》
目が覚め、テントから這い出て夜番をしてくれたクロに挨拶をした。
《主人殿が寝ている間に襲ってきた獲物っス》
クロはそう言って、自身の影から銀色の犬やら鈍色の肉食猪やらをドサドサドサッと取り出した。
「・・・結構襲って来てたんだな」
《主人殿の匂いを嗅ぎつけたらしいっス》
「ああ、此奴等から見て俺は餌に見えていたって事か」
《そう言う事っスね》
俺はクロと会話をしながら、昨日で解体用となってしまった短剣を取り出し、クロが夜の間に仕留めた魔獣や獣の解体を始めたのだった。
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「・・・結構時間かかったか?」
《いえ、途中から物凄い作業スピードがめちゃくちゃ速くなったっスから、主人殿が思っているより早く終わってるはずっスよ》
解体を終えて俺は血塗れになった体を水魔法で洗って、顔と手と服に付着した血を落とした。
クロが言っている「途中から作業スピードが上がった」理由は、『解体』スキルが遂にMAXになったのだ。取得して次の日にLVMAXって流石に早いだろと胸中で呟くと、『ツッコミ』スキルも一つLVが上がったのは誤算だったが。
「・・・さて、今日はクロが狩って来た昨日の猪肉の残りを焼いたやつと、ウサギのシチューの残りの予定だ。何か異論は?」
《有りませんっス!》
汚れを落として、昨日使った焚き火の残骸に火を付け直した後、俺はクロに尋ねるとクロは元気よく反論無しと告げた。
「んじゃ、先ずは猪肉を一口大に切って・・・と」
俺は口で確認しながら、無限収納から取り出した猪肉の塊を包丁を使って切り刻み、一口大になった肉を獣油をひいた鉄板で焼き始めた。
焦げ目が程よく付き、辺り一帯に美味しそうな匂いが充満して来た頃合いを見計らって、無限収納から取り出した、既に刻まれている香草と塩胡椒を投入して、軽く味付けをした。
ピロリン!『料理』スキルのLVが上がりました。
俺はスキルのLVが上がったという通知を聞き流しながら、二つの皿にそれぞれ盛り付けた。
そして、温かい状態がキープされているウサギのシチューを無限収納から取り出して、これまた器に盛り付けた。
「さて、いただきます」
《いただきますっス》
俺とクロはそう言って朝御飯を食べ始めたのだった。




