第二話 神殿に到着しました。
本日二話目の投稿です。
転生をしてから五年が経った。これまでで辛かったのは授乳の時だった。いや、だってさー。俺の乳母さんはかなりの別嬪さんで、おっぱいに吸い付くのにはかなりの抵抗があったのだ。別に役得とは思ってない。思ってないからな!
そして、五年も経つとやはり俺も、キュートなベイビーから銀髪蒼眼の美幼女となっていた。成長して鏡を見た時、一瞬誰かと思ったもの。体を動かして、俺と同じ動きをすることで漸く俺だと理解したレベルだもの。
まぁ、元が男だし、理解した時は「あー、めっちゃ美幼女がこっちを見てる。ちょっと照れちゃうー」と、現実から百八十度と目を背けるのも無理がないだろう。これをご褒美と言えるのはかなりの猛者か、もしくは男の娘しかいないだろう。
しかし、この美幼女っぷりはかなりヤバイ。メイドさん達も「エリシア様なら、将来社交界の花になれます。ああ、その時のドレスを是非ともおめかしして差し上げたい」と話してるもの。その時俺は、「あ、ドレスですか・・・」と遠い目になった。やはり、貴族の女性は大変だ。
ちなみに、俺の名前はエリシア・フォン・アルゲート。エリシアが名前で、アルゲートが家名。間のフォンは貴族の証だそうだ。家族はやり手の財務官な父、優秀だが、かなりのシスコン&ブラコンな兄、臆病で甘えん坊な弟、そして、病弱で儚げな美人の見た目だが家族の中で一番肝の座っている母がいる。家族仲は良く、貴族位は伯爵家というかなり恵まれた環境だった。そこだけは感謝する、ありがとう天使よ。殴るのは決定事項だが。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
只今、俺ことエリシアはシックな伯爵家の馬車に揺られていた。何故ならそれは・・・
「ステータスカードかぁ・・・」
そう、ステータスカード。それは異世界転生モノのラノベや漫画でお馴染みの能力やレベルがわかる便利なアイテムだ。そしてスキルもレベルもあるこの世界でも、ステータスカードは重宝されている。
そして、この世界では五歳になると神殿に行き、例のステータスカードを貰う儀式を行うらしい。オラ、ワクワクしてきたぞ。
「お嬢様。もうすぐ神殿に到着いたします」
馭者をしてくれていたベテラン執事のセバス・クンが教えてくれた。俺も初めてあった時は「惜しい!」と思ったものだった。俺にとって、執事と言ったらセバスチャン。セバスチャンと言ったら執事。というイメージが強いのだ。しかし、彼はチャンではなくてクンだったのだ。
「お嬢様?もうすぐ到着ですので、ご準備ください」
「あ、はい。分かりました」
いかんいかん。セバスが不審に思ってこちらを向いてきた。俺は慌てて舌ったらずな声とお嬢様言葉で返答した。さて、もうすぐだな!年甲斐も無く、ワクワクしてきた!・・・まぁ、今の年齢考えると年並みなんだけどな。はぁ・・・。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「お嬢様、神殿に到着いたしました」
「分かったわ」
どうやら到着したらしい。俺はセバスの手を借りて馬車から降りた。勿論微笑みながらお礼を言う。セバスも微笑み返してくれるので、なんか気分がいい。は!もしや、俺はジジコンだったのか!?・・・ってな訳無いか。それよりも神殿はーっと・・・え?
「おっきい・・・」
俺は思わず呟いてしまった。何故ならそこにはどでかい建物があったのだ。
見た目はあれだ、サグラダ・ファミリアに近い。まぁ、全体的に思いっきり真っ白なのだが。
「では、お嬢様。参りましょう」
そう言ってセバスは俺の手を取った。俺も「ええ」と、勿論お嬢様言葉で頷き返して、歩き出した。エリシア・フォン・アルゲート、いざ!参る!
ここで一句。
鬼は外
寒冬にそれは
拷問や (字余り)