表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/155

第十七話 三度の神界で

「実はそのデゼアの森に貴方とは別の転生者がいるようでしてね。彼が好き勝手しているようなのですよ」

「まるで、聞いてきた様な言い方だな」


俺がエクリシオンに向けてそう問うと、エクリシオンは「そうですよ。実際聞いた話ですから」と肯定した。


「・・・誰に聞いたんだ?」

「天使仲間です」

「仲間居たんだ・・・」

「いや、居ますよ?」


エクリシオンはコクリと頷いた。が、俺はそれを無視して話の先を促した。


「あ、そうですね・・・。コホン、実は貴方と関わり合いのある方を一人こちらに呼んだのですが、その時に使った世界の繋がりをいつのまにか利用されてこっちに来てしまったのですよ。言うなれば、密航ですね。この異世界間の密航は、本来ならかなりの禁忌なのですがされてしまったら私達神族・・・と言っても厳密に言うと天使ですね。ほら、私は天使でしょう?竜人さん・・・あ、エリシアさんって呼んでくれって言ってましたね?つい、また呼んでしまいました。すいません。で、こっちに呼んだのは・・・」

「長い」

「はい、すみませんでした。なのでこのアイアンクローを解いてください。痛いです。いや、マジで」


エクリシオンの説明が長い為アイアンクローを食らわすと直ぐに謝罪しながら両手を上げた。

俺は溜息を吐いてエクリシオンを解放した。


「お前、説明が長いんだよ。三行で纏めろ。三行で」

「あ、はい。分かりました。では・・・

貴方と関わりある方を転生させました。

別の方も此方に来てしまいました。

その方が暴れてます。

・・・休み欲しい」

「無理やり四行にするな」


俺はまた、エクリシオンにアイアンクローを食らわした。


「すみません、すみません、すみません」



エクリシオンはまた両手を上げて降参をした。俺はエクリシオンの顔から手を離して呆れながら尋ねた。


「・・・で、誰だよ俺と縁の深い奴って」

「東雲莉奈さんです。貴方の幼馴染だった」

「あー・・・って、え?莉奈、死んだの?」


思いもよらぬ名前を聞き、俺は思わず尋ね返した。それに対してエクリシオンをコクリと頷いた。


「はい、海堂連司さんって方に殺されて、ですね」

「ああ、俺を殺した奴だな」

「そういえばエリシアさんは落とされる時、相手の事を見てたんでしたね」

「・・・もしかして、こっちに来た予想外の転生者って海堂の事か?」

「ええ、そうですよ」


エクリシオンが頷いたのを見て、俺は「マジかよ・・・」と頭を抱えた。と、その時、エクリシオンが「あ」と思い出したように声を上げた。


「実は伝えたい事があったのを忘れてました」

「ん?何だ?」

「実は・・・」


俺が尋ねるとエクリシオンは俺の耳元に口を近付けて、声を潜めた。


「実は、あのリーナシア・フェル・ファルミーユさんがさっき言った東雲莉奈さんです」

「・・・え、マジで?」

「YESです。そして、彼女には気をつけてください。彼女と会った時、不審に思って心を見たのですが・・・」

「ですが?何だ一体?」


そこで言葉を止めたエクリシオンに、俺が聞き返すとエクリシオンは俺から目を逸らし、言葉を続けた。


「彼女、竜人さんが大好きなヤンデレなので、バレたら何かしらヤバそうな気がするのですよ」

「・・・解った。いや、理解したくないし、知りたくなかったけどお前が俺の事を思って教えてくれたのは解った。凄く気をつけるわ」

「はい。・・・では、そろそろ竜人さんを戻しますね」


エクリシオンはそう言って俺から離れた。そして、エクリシオンが手を打ち鳴らしたと同時に俺の意識は薄れていったのだった。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「・・・・・・行きましたね」


エリシアが去った後、神界でエクリシオンが一人呟いた。


「彼女をやっと取り戻せたのです・・・。もう二度と失う訳には」


エクリシオンはそう呟き、いつのまにかその手の中にあった蒼い大きな水晶を見たのだった。

伏線です。

伏線という名のフラグが立ったのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ