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第十四話 隣国の皇女に出会いました。

彼女が出ます。

「まったく・・・。吃驚させないでよね、クロちゃん!」

《すいませんっス、ちょっとした出来心っス》


クロはレイナの腕の中に移って、レイナに怒られていた。レイナには、クロの言葉は「わふわふ」としか聞こえないはずだが何故か、会話が成り立っていた。


「それで、エリシアは昼食は何食べるの?」

「そうですね、取り敢えず何があるかを見てからにしようと思います」

「あれ、まだ見てなかったの?食堂のメニュー。寮に来て先ず最初にすることでしょ?」


それはお前だけだ。

そう突っ込みそうになったが、グッと我慢して、俺は愛想笑いを浮かべて誤魔化した。


《オレは肉が良いっス!》

「クロちゃんは野菜かな〜」

《なんでっスか!?オレは肉食っスよ!ギブミーニートっス!》

「そっか〜。クロちゃんは苦瓜が食べたいんだね」


クロよ、それじゃあ自宅警備員を貰ってるぞ。

俺はレイナとクロのキャッチボールをしない会話に頭が痛くなる気がした。

と、その時、向こう側から黒髪の少女が歩いて来た。確か彼女は、寮に来た時にすれ違った人だ。


「あ、こんにちは。リーナシア殿下」

「こんにちは、メルアード公爵家のレイナ」


俺の隣に居たレイナはそう言って頭を下げ、それを見た彼女はペコリと小さく変わらない表情で会釈した。


「えっと・・・」

「・・・貴女とは初めましてね」


黒髪の少女は俺を向き、名乗った。


「私はファルミーユ帝国第四皇女、リーナシア・フェル・ファルミーユです。気安く接して下さってよろしいですよ」


何と、驚く事に彼女は隣国の皇女だったようだ。

彼女・・・リーナシアはやはりニコリともせず、名乗ったのだった。


「私はアルゲート伯爵家のエリシア・フォン・アルゲートでございます。リーナシア殿下」


俺は『ポーカーフェイス』スキルの力を借りて、作った愛想笑いを浮かべながらカーテシーをして自己紹介をした。しかし・・・


(似てるんだよなぁ・・・)


彼女、リーナシア殿下は俺の前世での幼馴染にどこか似ているのだ。もちろん顔付きや声などは違うが、何というか似た雰囲気を感じるのだ。


ま、気のせいだよな


俺はそう断じて、そのまま歩き去ろうとしたら、リーナシア殿下が「待って」と声をかけた。


「何か御用でしょうか?」

「・・・この犬って貴女の?」


俺が振り向いて尋ねると、リーナシア殿下はレイナが抱えていたクロを指差して聞いて来た。


「ええ、私の使い魔でクロと言います」

「そう、可愛い名前ね。大事にしてあげて」


俺が頷きながら肯定すると、彼女は少しだけ微笑んで、一言だけ残して去っていった。


「・・・不思議な方でしたね」

「え、そうかな?私は優しい人だと思うよ。だけど・・・」


俺の呟きにレイナはそう答えて、最後に言い淀んだ。その表情は何かに怯えるような物だった。


「だけど?」

「少し怖いかな?まるで、一つの物に執着を見せて、その為にはどんな手段も許容する。そんな感じの怖さ」

「・・・気にし過ぎではないですか?」

「あはは、そうだね。・・・よし!じゃあ、早く行こう!」

「あ、レイナ様!?」


先程の怯えるような表情を一変させて、いつもの快活に笑っている表情となり、俺の手を引っ張って走り出したのだった。


しかし、俺はレイナの言葉に嫌な予感を覚えていた。その理由は・・・


(超直感のユニークスキル、何だよな・・・。まぁ、所詮は直感だし、そこまで気にしなくても良いか)


けど、俺はもっと深刻に受け取るべきだった。レイナの直感を・・・。

レイナのクロの呼び方を書くたび、何処かのモンスター芸人を思い浮かべてしまう。そんな作者でした。

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