第十二話 首飾りを作りました。
「と、こんな感じの事があったんだよ、クロ」
《主人殿も大変そうっスね〜》
俺は寮に着き、自室で彫刻を掘りながらクロと話をしていた。
《しかし・・・主人殿も多趣味ですね。貴族の令嬢は普通、彫刻とかしないっスよ》
「それは、私が普通の令嬢じゃないって事?」
クロの言い分にギロッと睨むと、クロは慌てたように言った。
《いやいや!魔獣と普通に話せる主人殿が普通の令嬢なわけ無いじゃないっスか!》
「・・・確かに。それもそうだ」
俺が納得して睨むのをやめると、クロはホッと胸を撫で下ろしていた。子犬の姿で器用なものだ。
「けど、クロの言葉で少し傷付いたからお仕置きな?」
《そんな無情な〜っ!!》
俺の言葉にクロは情けない悲鳴をあげたのだった。
ピロリン!スキル『脅迫』を取得しました。
ピロリン!スキル『威圧』を取得しました。
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《うう・・・。主人殿は恐ろしい人っスよ〜》
「・・・すまん。やり過ぎた」
お仕置きを実行した後、クロは丸まって落ち込んでいた。少しだけやりすぎた感があったので謝罪するが、クロは丸まったままだった。
「・・・ったく、まぁ目的のものは出来たから俺の方は良いか。クロ、出かけるぞ」
《って、主人殿。待って欲しいっス〜》
俺は先程彫刻で作ったペンダントを身に付けてから、外に出ようと扉に手をかけてから、クロを呼んだ。
すると、クロは慌てて俺の影へと潜り込んだ。
「・・・たく、早く立ち直るのならもっと早く立ち直ってくれよ」
俺は小さく呟きながら外に出たのだった。




