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第九話 寮に辿り着きました。

「・・・では、これで、エリシアさんの編入手続きは終わりました。中等部一年のAクラスです。それと、これが寮の貴女の部屋の鍵です。部屋番号はそこに書いてありますので」

「はい、分かりました。ありがとうございました」


俺はそう言って対応をしてくれた事務員さん的な立ち位置の教師に頭を下げた。その行動に驚いていた様だったが、直ぐに「いえいえ、これが私の仕事ですから」と笑っていた。


《それで、主人殿。先に寮に行くっスか?》

「ああ、制服に着替えたら直ぐに教室に向かう。この為に早く家を出たんだから。・・・で、クロは今から影の中に居ろ。外に出てると騒ぎになるからな」

《了解っスよ。主人殿》


俺の言葉にクロは「わふっ」と鳴きながら頷き、俺の影の中へと潜り込んだ。・・・本当にこいつ狼か?あった時はもう少し獰猛だった気がしたが。


「ま、いいか。それよりも早く寮に行かないとな」


俺はそう呟いて思考を入れ替えて、寮へ向けて歩き出したのだった。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「しかし、綺麗だなぁ・・・」


寮までの道の脇には花壇があり、そこには色鮮やかな花が多く咲き誇っていた。俺は、そんな花を見ながらのんびりと歩いていると、建物が見えてきた。


「あれが寮か・・・。思ったより新しいな」


俺は遠目で寮を見ながら、ボソリと一人呟いた。そう、この学園はかなり古くからある為、寮などは年季の入った物だと思っていたのだが、別段そう言うわけじゃないらしい。


「・・・って、ん?誰だアイツ」


遠い所に人影があったのだ。誰だろうと思いながらも寮への道のりは、まだ慣れてないうちはここを通らないとわからない為、気にしない事にした。


そして、視認できる距離になってから少し驚いた。何故ならその人物は日本人のような艶やかな黒髪と黒曜石のような綺麗な瞳を持つ少女だったからだ。

そして、俺はその少女の雰囲気に何処か既視感が有ったのだが、「まぁ気のせいだろう」と気にしない事にした。


学院の校舎へと向かう彼女とすれ違った後は、これといって描写すべき出来事は無く、俺は無事に寮にたどり着いたのだった。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「よし、これで着替えはバッチグー、だな」


俺は寮に辿り着き、自身の部屋で着替えた制服を鏡で見ながらの確認を今終えた。


《よく分からないっスが、似合ってると思うっスよ。主人殿》

「ありがとうな、クロ」


俺は改めて、鏡を見た。うむ、白く少しヒラヒラ装飾のされた女子用のシャツに、赤いリボンタイがよく映える。金色の刺繍で模様が付いた薄灰色の上着、そして、こちらも金色の刺繍で飾り付けられた黒いスカートが動くたびに揺れて可愛らしい。


「しかし、流石にタイツは無かったか・・・まぁ、履く可能性が無いのはいい事だが」

《主人殿、「たいつ」って何スか?》


俺の呟きを拾ったクロがコテンと首を傾げた。それに俺は気にしなくて良いと言いながら校舎の方へ行こうと思い立ち上がって、ふと思い出した。


「そういや、何か神族を表したものを使うとシエラやエクリシオン達と会話が出来るんだったな。ならどっかで彫刻用の木材を調達するか。鑿とかの道具の方はいつ入れたか忘れたけど無限収納の方に入ってるし」

《シエラとか、エクリシオンって誰っスか?》

「ん?ああ、神様だよか・み・さ・ま」


クロにもう言って良いかと思いそう教えると、一度動きを止め、その後、叫んだ。


《ま、ま、ま・・・まじっスかーーーっあ!?!?!?》

「うん、まじまじー」


俺はそう言ってぱっぱと自室を出たのだった。


《て、あ!置いていかないでほしいっスよ主人殿ー!》


そして、その後をクロが慌てて付いてきたのだった。

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