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第八話 学院到着

日が変わり、今日が学院の入学式だ。

俺はベッドから降り、伸びをしてパチンッと頰を軽く叩いて喝を入れた。


「今日から学校、頑張るぞい!」

《主人殿、ぞいって何スか?》


俺の気合の声にクロが突っ込んだ。・・・なんか、そんな気分だったんだよ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


これからはそう簡単に家族全員で食事を取ることは難しい為、朝食を取っている間中ずっと、家族内で一番家族愛の強い兄は物凄い勢いで泣いていた。と言うか、現在進行形で号泣してる。

「あれが最後の朝餐なんだっただね」と。いや、今後また全員揃う時があるから。ついミラノの修道院の壁画を思い浮かべちまったよ。というか、朝餐ってよく知ってたね我が兄よ、勉強になった。だから泣き止んでくれ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


結局俺が学園に行く時まで泣き止まなかった兄に俺は疲労感を覚えながら学園へと向かった。

学園の方では、学院にある従者科の上級生の生徒達がお世話をしてくれるらしい。その事については学院側から先に通達がある為、親も了承しているのだ。「それが嫌なら自分達の懐からだせばいいじゃん」的な言葉も添えてある為、学院からしてみれば、貴族の子供の我儘に付き合わないつもりなのだろう。


「まぁ、俺は別に誰でもいいけど」

《主人殿は何故か貴族令嬢なのに自律能力が高いっスからね〜》

「煩い」


俺は膝の上に乗っていたチビクロの頰をモニュモニュ揉んで躾を行なった。そう、俺の自律能力を呆れた様に評するクロへの躾なのだ。


《やめるっス〜》

「まだまだ止まないぞ〜」


学院に着くまでの暇つぶしとして暫く戯れ合っていると外からセバスの声がした。


「お嬢様。もうすぐ学院に着きます」

「分かったわ、セバス」


俺はセバスに返事をして、頰を揉み続けられていたクロを解放した。解放されたクロは頭をフラフラと揺らしながら膝の上から転げ落ちた。


「お嬢様、学院に到着致しました。・・・では、学院生活をお楽しみ下さいませ」

「ありがとうセバス。また休暇の時には馭者をお願いね。・・・クロ、行きますよ」

《あ、主人殿。まだ世界がグルグルと、グルグルと回っているっスよ〜》


俺が馬車から降りてからクロを呼ぶと、クロはフラフラと降りてきた。・・・うむ、少々やり過ぎてしまったな。少し反省しなければ。

まぁとにかく、先ずは編入手続きをしに職員室に行かないとな!

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