第七話 怠惰の力は?
「・・・ま。・・・お・・・う様」
遠くから薄っすらと声が聞こえた。そしてその時、俺の体が大きく揺れた。
「お嬢様!」
「セ・・・バス・・・?」
「目覚めましたね、ご無事で良かったです」
目を覚ますと、俺の肩を掴んでいたセバスがホッと胸を撫で下ろしていた。
「お・・・私は一体?」
危ない危ない。危うく俺って言うところだった。
「お嬢様は神像の前で祈り出した瞬間、いきなり倒れたので、神殿にある部屋をお借りさせて頂いたので、御座います」
「そうだったの・・・」
俺があっちの世界・・・便宜上『神界』とでも呼ぶか。で、その神界に行っている間は俺の体は倒れていたって事か。
「ところでお嬢様。一体何があったのでしょうか」
セバスが俺にそう尋ねてきた。それに俺は「私も分からない」とはぐらかしたのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
これで一応神殿側の用事も一応終わったらしいし、「大事をとって屋敷にお帰り下さい」と神殿長が心配そうにそう言ってきた為、俺は屋敷に帰ることになった。
《しかし、主人殿。本当に何があったのか分からないっスか?》
「うん分からん分からん」
俺は馬車に揺られながら、クロに尋ねられた事を雑に流して、俺はステータスを見ていた。
(『怠惰』の天魔能力が増えてるな・・・)
俺はステータスの天魔能力という欄を見た。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
怠惰
怠惰なる権能を司る能力。
使用可能能力
使い魔召喚
・スロウスバッファロー
・スロウスドンキー
万里の魔手
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
召喚は恐らくクロと同じ物だろうと予想は付くが、この『万里の魔手』というものはどの様なものか分からないため、調べてみると・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
万里の魔手:見える地ならば何にも囚われず無限に伸び、凡ゆる物を捕らえる無限の魔手。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
うん、もっとよく分からなくなった。
俺は溜息を吐いてステータスを閉じた。
さて、明日から学院だ。しっかりしないとな。




