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プロローグ

昔書いてた小説が出て来たので、投稿してみようと思います。

拙いでしょうが、生暖かい目で見て下さい。

 目を開けるとそこに広がっていたのは、家具も床も天井も何も無い、真っ白な空間だった。


「ここは一体・・・?」


  全くもって見覚えの無い場所。俺は如何して此処に居るのか。そこまで考えて思い出した。そう、俺は・・・


「死んだのか・・・」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 俺について、憶えていることを確認していこう。俺の名前は竜人、そして姓は山本だ。一般的な家庭で生まれたオタクな高校生にして、17歳。家族は両親と妹が居て、家族仲は良好。悪いところをあげるとしたら、妹が俺に対して少し厳しいという事ぐらいだ。そして、勿論性別は男。容姿は普通で、唯一の特徴は目つきが悪い事。その為か、交際経験は年齢=彼女いない歴、という式が成り立つレベルだ。そして死因は確か・・・


 そんな風に一つずつ思い出して確認していると、背後から声がかけられた。


「あの〜・・・少し良いですか?」


 振り向くとそこには天使が居た。しかし残念な事に絶世の美少女では無く、ムカつくほどに顔の整った男が居た。・・・取り敢えず何者かを聞くか。


「おま・・・」

「初めまして、天使です。・・・あ、すいません。何か言いかけて無かったでしょうか?では、言って構いませんよ」

「・・・いや、別にいい」

「いえ!遠慮し無くてもいいんですよ!ささっ!どうぞ!」


 ・・・何だろう。此奴、凄くウザい。


「いや、ただ名前を聞こうと思っただけだから」

「・・・あ、そうでしたか。では、聞いてください!遠慮無く!」

「・・・いや、天使とだけで呼ぶからいい」

「・・・・・・・・・そうですか」


 断ると天使は物凄くションボリしていた。


「・・・取り敢えず何か用があるんだろ」

「あ、はい!そうでした!」


  俺が促すと天使はコホンッと咳払いを一つして話し始めた。


「実は貴方は殺されたのです!」

「いや、知ってるぞ」

「ええ、やはり驚きで声が・・・ってえ?知ってる?」

「あ、ああ・・・」


 いきなり動きを止めて、ポカンとした顔で天使は聞き返してきたので、少し戸惑いながら答えると、


「・・・えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」


 物凄い勢いで驚いていた。それこそ、漫画だと目が飛び出ていると思わせるほどの驚き方だった。


「取り敢えず本題に入ってくれ」


 俺がそう言って先は促すと、天使は、


「ああ、すいません。野蛮で凶暴な顔に似合わず落ち着いているようなので、とても驚いてしまいました」


 爽やかな笑顔で毒を吐いてきた。

 ・・・此奴、人のコンプレックスをっ!


「殺すぞ?」

「死にたく無いのでやめてください」


ふるふると震えながら、天使は土下座して来た。


「・・・自分で言っててなんだけど、天使って死ぬの?」

「は?天使も死にますよ?」


 俺の疑問に対して、天使は「何言ってんだコイツ」といった風な顔をした。・・・少しイラっとくるな。


「あ、そう言えば本題をまだ言ってなかったですね」

「ん、ああ、そうだな」


 天使はとても素晴らしい笑顔で口を開いた。


「貴方には転生してもらいます」

「は?」

「貴方には転生してもらいます」


 思わず聞き返すと天使はもう一度繰り返した。


「・・・転生って何なんだよ。ラノベかよ」


 俺が首を振りながらそう言うと、天使は、


「はい。そちらの世界の書物、ライトノベルと言うものと同じ展開です」


 満面の笑顔で言った。・・・ん?ちょっと待て。今、コイツ断言系で言ってなかったか?


「拒否権とかは?」

「すみませんが、有りません。貴方が乗り気ならもっと早く済んだのですが・・・。まぁ、仕方ありません。あ、勿論サービスでチート能力は差し上げますので安心して下さい」

「いや、ちょっと待っ・・・」

「待ちません。では、改めて。・・・貴方には異世界を救ってもらいます!その為の力も与えました。では、行ってらっしゃい」


 天使は結局最後まで話を聞かない奴の様だった。

 そして、俺の意識は笑顔で手を振る天使の姿を見ていたところで途切れたのだった。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 一人の少年が異世界を救うために無理矢理転生させられた後、天界では、


「あ、そういえば転生先は伯爵令嬢だというのを伝え忘れてましたね。・・・まぁ、今度、礼拝をしに来た時にこちらに呼び寄せて誠心誠意謝りましょう。・・・罪滅ぼしと言う訳ではありませんが、何柱か神にお願いして加護を与えて貰える様に掛け合ってみましょう」


 一人の天使が自身の失敗に気付き、少しばかり狼狽えながら円を描くように、同じ場所を歩き回っていたのだった。

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