第三話 天使との再会
意識が戻り目を開くと、そこは何も無い真っ白な部屋だった。
「お久し・・・」
「うおりゃぁっ!!」
「はぅすてんぼすっ!?」
背後から聞こえた男の声に俺は振り向きざまに裏拳を放った。
裏拳をくらった男・・・天使エクリシオンは鼻から血を流しながら倒れた。
「い、いきなり何するんですカッ!?」
「語尾が太鼓の付喪神っぽくなってるぞ」
「あ、さっきまでそのゲームをやってたんですよ」
「何やってんだよ」
「ばくだんってウザくないですか?何回も叩いてしまってミスばっかでしたよ」
「HAHAHA!」と笑うエクリシオンを見て俺は思った。「あれ、こいつこんなキャラだったか?」と。
「・・・って、そうですよ!なんでバックフィンガーをするんですか!」
「それを言うならバックフィストだぞ」
俺が突っ込むとエクリシオンは固まった。
「・・・で、ここに呼び出した理由は?」
「あ、はい。竜人さんが転生する時にお伝えし忘れていた事があって・・・」
「言い忘れてた事・・・?」
エクリシオンは申し訳なさそうにそう言った。俺は片眉を動かして先を促した。
「実は・・・竜人さんの転生先は、貴族家の令嬢なのです!」
「うん、知ってるよ」
「・・・ええ!?」
俺の言葉にエクリシオンは跳び上がって驚いた。馬鹿なのだろうか?
「な、何故知ってるんですか!」
「もう転生して十二年経ってるぞ?」
「・・・あ、そうでしたね」
俺が答えると、エクリシオンはポンっ!と手を叩いて頷いた。本気で気づいてなかったのだろうか?
「で、用事がそれだけだったんなら、もう帰らしてくれ。明日は入学式なんだよ」
「ああ!ちょっと待ってください!」
エクリシオンが慌てて叫んだ。俺は片眉を上げ、エクリシオンを見た。
「まだ何か用があるのか?」
「はい、実は先程のお詫びにユニークスキルを超えたスキル・・・その名も『スペシャルスキル』を一つ渡そうかと思いまして。あ、因みにステータスには『天魔能力』と表記されます」
「へぇ・・・」
「このスキルは、『悪魔殺し』か『天使殺し』の称号取得が条件なのですよ。因みに、『天使殺し』を取得するには堕天使の方じゃ無いと、『背信者』の称号を与えられてしまいますので」
「解説ありがとう。で、俺に与えられるのは?」
俺が尋ねると、エクリシオンはいい笑顔になって答えた。
「『怠惰』です」
今日はうるう年にしか無い、特別な日なのだわ!!!!!!!
・・・オリンピックが楽しみですね。




