第二話 神殿に呼ばれたのは・・・
《しかし、何の用なんスかね?》
「多分悪魔関連だろうなぁ・・・」
馬車に揺られながら俺はクロの疑問に俺の予想を告げた。それを聞いたクロは《成る程っス》と頷いた。
(それに・・・神殿だったらあの天使が関係してるかもしれないしな)
俺は誰にも告げることなく、ただ胸中でだけ呟いた。
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「お嬢様。着きました」
「ありがとう、セバス」
馬車が停止してセバスの声が聞こえた。俺はクロを影の中に潜ませてから、馬車を降りた。
そして、目前には以前来た時と同じ神殿があった。やはり、サグラダ・ファミリアに似ている。しかし、あの時は今より小さくて気がつかなかったがそこまで大きくはないようだった。まぁ、大きすぎても困るしな。
「お嬢様?」
「あ。いえ、何でもありません。さあ、行きましょうセバス」
立ち止まって考え事をしていたのを不審に思われたので、俺は慌てて神殿の中へと入っていった。
「お待ちしておりました、エリシア様」
神殿に入ったところで、これまた懐かしいセンター・クリス神殿長が穏やかな微笑みを浮かべながら出迎えてくれた。
「少し遅くなってしまいましたか?」
「いえ、こちらから呼び出したのです。それに、その日の昼に来て頂けるとは思ってもいなかったので」
俺が尋ねてみると、神殿長は「いえいえ」と、その優しい笑みを一切崩さずに否定した。
「ところで、何か用があると聞いたのですが、一体どの様な用件なのでしょうか?」
俺が尋ねると、神殿長は「そうでした」と呟いて俺を奥へと促した。
俺はセバスの方をチラリと見てから、その後を続いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「こちらです」
「ここは・・・?」
俺は広い空間を見て思い出した。ここはそう、ステータスカードを渡されたあの部屋だ。
「ここは祈りの間の一つで、ここで神に祈りを捧げるのです」
横から神殿長の説明がきた。
・・・成る程、通りで立派な神像があると思ったよ。
「それでですね。今回エリシア様をお呼びしたのは、御告げが有ったのですよ」
「・・・誰のでしょうか」
「神のですよ」
俺の質問に神殿長は微笑みながらも、その声には真剣さがにじみ出ていた。
「・・・その神の御告げは私に何をさせろと言っていたのですか?」
「それはですね・・・」
俺の質問に神殿長は少し間を開けた。どうしてそこで勿体振るんだ、何要求されるか分からんから怖いわ!
俺の視線を受けていた神殿長はそこで続きを言った。
「『祈りを捧げさせよ』との事です」
「祈り・・・ですか?」
「はい」
俺が聞き返すと、神殿長は頷き返し、そして俺を神像の前へと促した。
俺は神像の前まで来て、それを見上げた。
(結構大っきいなぁ・・・)
俺は胸中で呟き、そこに跪いて祈りを捧げた。
と、その時、
ピロリン!ユニークスキル『神託』を取得しました。
ピロリン!ユニークスキル『聖法術』を取得しました。
ピロリン!称号『聖なる者』を取得しました。
ピロリン!称号『聖女』を取得しました。
ピロリン!称号『神託の巫女』を取得しました。
(あ、やっと来ましたね竜人さん。では、こちらに呼びますね〜)
「は、えぇ?」
いきなり連続で聞こえたアナウンスと、その後に聞こえた、聞き覚えのある声が頭に響くと同時に俺の意識は薄れていった。




