第七話 英雄への仲間入りを果たしてしまいました。
目を開くと、視界に映ったのは見知らぬ豪華な天井だった。
「ん・・・此処は・・・?」
「エリシア!目が覚めたか!」
声がした方向に目を向けると、そこには父がいた。
「・・・お父様?」
「ああ・・・!そうだ、目覚めてくれて良かった・・・っ!」
父は泣き笑いの表情で、俺の目覚めを喜んでくれていた。どうやらかなり心配させてしまったようだった。
「此処は・・・?」
「城の医務室だよ」
俺は父の答えに「道理で豪華だ」と納得して、次の疑問を投げかけた。
「・・・デビュタントはどうなりましたか?」
「ああ、また後日開催される運びとなった」
「そうですか・・・」
俺はベッドから体を起こそうとして、少し重いことに気が付いた。
「エリシアはな、丸三日眠っていたのだ」
「・・・そんなにですか」
まさかの言葉に俺は少し反応が遅れてしまった。
「ああ、あの後医者に診て貰い、ただの疲労だと言われていたが、なかなか目が覚めぬから皆心配していたぞ」
「そうですか・・・」
俺は心配されているという言葉に少し照れ、ツイッ、と視線を逸らしてしまった。横目で見ると、父は少し微笑ましそうに見ていたので少しだけ気恥ずかしくなった。
そこで、父は真面目な顔になり尋ねてきた。
「それで、話では聞いたが本当にお前が悪魔を倒したのか?」
俺はそれには答えず、ステータスカードを渡した。因みに、このステータスカードに表示されている情報は父に渡す前に、メニューを利用して、『ステータス偽装』のスキルで都合の悪い所はカットしてある。主に主神の加護とか、勇者の称号とかユニークスキルの殆どとか。
「・・・うむ、本当のようだな」
俺のステータスカードを見た父はそう呟き少し疲れた様に呟いた。
「まさか私の娘が、たった七歳で英雄になるとはな・・・」
どうやら俺の行動は父に心労をかける出来事だったらしく、父はその後、優しく頭を撫でながらステータスカードを返して、そのまま部屋を出て行った。
・・・帰り際に「暫くしたら陛下達が来るからな」という呟きを残して。




