第十二話 クロ
怪我を負っていた護衛の人達の傷を治した後、意識を取り戻したダークネスウルフが立ち上がり、
《誠に申し訳ございませんでしたぁーーーっ!!!!》
そう言って物凄い勢いで頭を下げた。
「エリシア、このダークネスウルフどうする?」
「殺す?」と無邪気にレイナが尋ねてくる。少し怖いですよ。
《何でもしますから!命だけは何卒、何卒ご容赦ください!!》
・・・このダークネスウルフ。キャラ変わりすぎじゃね?
俺が無言でダークネスウルフを見つめている間もレイナとダークネスウルフが話しかけてきていた。
「ねぇ、エリシア。逃したら今後、このダークネスウルフの被害者が出るだろうし、私達のLVも上がるし、ここで殺した方が万々歳じゃ無いかな?」
《お願いです!望まれるならお座りもお手も、なんなら、ちんちんかいかいだってやりますから!》
「じゃ、お座り」
ズズン!
「「・・・・・・」」
ダークネスウルフの言葉を聞いて、つい命じると、俊敏にダークネスウルフは反応してお座りを披露した。
ピロリン!LVが上がりました。
ピロリン!LVが上がりました。
ピロリン!LVが上がりました。
ピロリン!LVが上がりました。
ピロリン!スキル『従魔術』を取得しました。
ピロリン!スキル『調教』を取得しました。
ピロリン!スキル『隷属』を取得しました。
ピロリン!スキル『命令』を取得しました。
ピロリン!称号『大物喰らい』を取得しました。
ピロリン!称号『魔獣使い』を取得しました。
ピロリン!称号『使役者』を取得しました。
ピロリン!条件を満たしました。ユニークスキル『メニュー』が解放されます。
・・・なんか凄い勢いで流れるんだけど?そして最後のは何?最後のが聞こえた瞬間、視界の端にログが出たんだけど?ゲームですか?これ?
「どうしたの?エリシア?」
「・・・はっ!す、すいません・・・」
レイナに肩を揺すられて俺はハッとした。とりあえずこの謎スキルは置いといて、このダークネスウルフをどうすべきか・・・だよな。
「・・・使えるかな?」
「ん?何か言った、エリシア」
「いえ、何でもございません」
俺の呟きに反応したレイナにそう答えて俺はダークネスウルフに向けて尋ねた。
「貴方は私の従魔になりますか?」
《!?勿論です!弱者は強者に従うが、自然の掟ですから!》
俺の質問にダークネスウルフは首を縦に振った。それを見て、俺は新しく手に入れたスキルを使うことにした。
「『従魔術:発動」
俺がそう詠唱すると、俺とダークネスウルフを魔法陣が取り囲んだ。そして、俺の頭の中に、次にすべき事が浮かんだ。
「『命名:クロ』」
ピロリン!スキル『命名』を取得しました。
ピロリン!ダークネスウルフの『クロ』が従魔になりました。
視界の端のログに新しくそう文章が現れた。少し便利だ。
《これからよろしくお願いします。主人殿!》
この日、俺に新しく従魔というペットが出来たのだった。




