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第四話 お手紙

 今日の授業がすべて終わり、俺は寮の自室に戻った。


「ただいまー」

「お帰りなさいませ、お嬢様」


 扉をあけて部屋に入れば既に部屋にいたレティシアが、メイド服姿でカーテシーをしながら出迎えの挨拶をした。


「レティシア。今は誰も居ないから、楽にして良いよ」


 俺がそう言うと、レティシアは肩の力を抜いた。


「・・・ねぇ、部屋のなかぐらい普通に接しても良いと思うけど」

「何を言ってるの、エリシア。形式的でも、許可を貰ってからじゃなきゃ駄目だよ」


 俺がこの遣り取りに少面倒さを感じて言うと、レティシアに言いくるめられる。それは帰宅してからの恒例の遣り取りのようになっていた。

 しかし今日は、いつもと違ってここで終わりではなかったようだった。


「それと、エリシア。机の上にこれが置いてあったんだけど・・・」


 そう言ってレティシアが取り出したのは白い封筒だった。それも赤い蜜蝋でしっかりと封されているものだ。

 しかし、封筒を封している蜜蝋に押された印は見覚えのないものだ。・・・と言うか、そもそもこの封筒自体に見覚えも心当たりも無い。


「・・・部屋を出るとき鍵かけたよね?」

「うん。この部屋にある窓は全て施錠済みかを確認したし、入口の戸締りもしっかりとされているか確認してからこの部屋は密室になるね」


 俺の疑問に淡々とレティシアは答える。その内容からして、この手紙は・・・。


「密室殺人ならぬ、密室投函か・・・」

「そしたらエリシアは箱庭にでも招待されるんですかね?お嬢様ですし、あながち間違いでは無いかもしれませんが」

「別に問題児でも無いし、ナイスバディな黒い兎さんとゲームもしねぇ・・・ってか、なんでそのネタ知ってんの?」


 思わずレティシアに聞き返すが、レティシアはふいっ、と首を背けた。


「・・・しかし、一体どうやって投函されたのでしょうか」

「おーい、レティシアさん?なんで問題児の一人を知ってるの?」

「・・・しかし、一体どうやって投函されたのでしょうか」

「おーい、レティシアさん?無視ですかー?」

「・・・しかし、一体どうやって投函されたのでしょうか」

「いや、お前はRPGのストーリーに一切関わってこない街の人か何かか」

「・・・しかし、一体どうやって投函されたのでしょうか」


 俺がツッコミを入れても、レティシアは頑なに同じ台詞(セリフ)を繰り返す。なので、


「・・・イッタイナンデダロウネー(棒)」


 レティシアの発言にツッコミを入れるのを止め、話を進めることにした。


「・・・しかし、一体どうやって投函されたのでしょうか」

「どうやったら会話が進むんだよ!?」


 しかし、レティシアから帰ってきたのは先程と同じ台詞だった。

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