第十一話 あ、言い忘れてたわ
「レイナ様。連中のアジトの、中に『悪魔の指先』の構成員と思われる存在は皆無でした!」
頰を膨らまし、拗ねた俺を宥めようとアタフタしていたレイナに、一人の若い騎士が報告した。
「・・・もしかして感づかれてた?」
「いえ、皆無と言っても、死体が散乱していましたので、何者かの襲撃があったのだと思われます」
レイナの呟きに兵士は首を振って訂正する。・・・ん?皆殺し?
「あ」
「あ・・・って、エリシア。やっぱりエリシアがやったの?」
「いえ、私ではないです。・・・実は、建物を出る時にあヤルダバオートに遭遇して・・・」
俺はつい言い忘れていた事をレイナに伝えると、両頬を引っ張られた。
「そ、れ、はぁ・・・早く言いなさいよぉっ!!!!!!!!」
「ふいはへん!ふいはへん!ひお、ひおふけまふ!」
俺は、頰を引っ張られながらも謝罪の言葉を言った。しかし、上手く発音できず、間抜けな姿を晒してしまった。
「・・・それで、ヤルダバオートって、やっぱり・・・」
「痛たたた・・・。あ、はい。レティシアを狙っていた悪魔ですね」
「エリシアの話によると、かなり強かったらしいから、遭遇した騎士がいなくて良かったよ」
俺は引っ張られて赤くなった頰を摩りながらレイナの問いに頷く。
レイナは俺の返答を聞き、胸を撫で下ろしていた。・・・うん、まぁそうですね。
「けど、何が目的で子供の誘拐を企てたのか・・・。死人に口無し、今となっては真相は闇の中、か・・・。あ、皆さん協力ありがとうございます。ファルトリア騎士団長様にもお礼を」
「分かりました。私がしっかりと団長に伝えておきます」
レイナは少し考え込んだ後、近くにいた青年騎士にそう声をかけた。青年騎士の方も、こくりと笑顔で頷くと他の騎士達と共に、俺の後ろにいた子供達を連れて去って行った。誘拐されていた子供達をそれぞれの家族の元へと送り届けてくるそうだ。
因みに、もし既に家族がいなかった場合は孤児院の方に送られるらしい。・・・と言うか、あったんだ。孤児院。
俺が少し・・・どころかかなりしょうもない事を考えていると、レイナが手を伸ばしてきた。
「ほら、早く帰ろ?みんな心配してるしね」
「・・・はい」
俺は、最初は驚いてレイナの手を呆然と見たが、やがて笑顔で頷くと、その手を取るのだった。
下の方に☆☆☆☆☆があるじゃろ?それを★★★★★にしてくれたら、布袋の元気が100倍になるんじゃよ。気が向いたら押して欲しいんじゃ。
感想も、『あ』の一言や、『砂糖』『塩』『酢』『醤油』『味噌』などの適当な言葉でもいいです。是非、送って下さい!!orz




