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第八話 脱出するぞ!

(さて・・・。どうすればそこまで目立たずに牢屋から出られるか、それが問題だ)

「・・・あ」


 俺は暫く鍵を睨んで脱出の方法を考えていたが、閃いた。


「どうしたの?」

「いえ、この牢屋からぱっぱと出ようと思いまして」


 俺は懐いてきていた少年にそう軽く返し、鉄格子の隙間から手を伸ばし、牢屋の鍵穴の前に掌をかざした。


「『氷結(フリーズ)』」


 俺が氷魔法の呪文を唱えると、鍵穴の中が一瞬で凍結した。

 そして、凍った鍵穴からひょっこりと氷がはみ出ている。

 俺はそのはみ出た氷を摘むと、氷を掴んだまま手を右へ捻った。


ガチャリ


「よし、上手くいった」


 俺はニヤリと口角を上げながら呟くと、鍵が開いた牢屋の扉を押した。


「すごーい!!」


 俺の行動を見ていた子供達は、目をキラキラとさせて叫んだ。

 しかしまだ此処は敵陣の中。俺は唇に立てた右手の人差し指を軽く押し当て、『静かに』のジェスチャーを行なった。

 此方でもこのジェスチャーの意味は通じるので、子供達は素直に静かになった。


「『隠遁』『隠蔽』『忍法』『忍術』『光学迷彩(ステルス)』『消音防壁(サイレント)』」


 俺は子供達が静かになったのを確認すると、隠れながら移動する為にいくつかのスキルと魔法を使用した。


「静かにしながら付いてきて」


 俺はそう言って行動を開始した。俺の後を子供達は素直に付いてくる。

 ・・・と言うか、俺の居た牢屋には、七人他に子供が居たのね。


(・・・お?見張りか)


 廊下の突き当たりに二人男を見つけた。俺は子供達に「此処を動くな」と言い含めて男達のところに向かった。


「あー・・・暇だ」

「そう言うな。これも仕事だろ?」

「けどよー。頭はまた攫ってきた餓鬼で楽しんだんだろ?」

「そうだなー」

「で、この前捕まえたあの銀髪の育ちの良さそうな餓鬼を今度は犯すんだろ?羨ましいよなー」


 ・・・その育ちの良さそうな銀髪の餓鬼って俺の事か?・・・それよりも、どうやって無力化するか。


 俺が通路の陰に隠れながら悩んでいると、


ピロリン!スキル『魔糸生成』を取得しました。

ピロリン!スキル『暗殺』を取得しました。

ピロリン!スキル『隠密』を取得しました。

ピロリン!スキル『拘束』を取得しました。


 ・・・うん、有難う。けど暗殺は違うよね?誰も殺さないよ?まじで。

 俺は『暗殺』のスキルを習得させたであろうあのアホ天使に軽い『コレジャナイ』感を感じながら、習得したばかりの『魔糸生成』『拘束』『隠密』を使ってパパッと無力化した。騒がれても面倒なので、闇魔法でグッスリと眠って貰った。


「はい、終わりましたよ。静かについてきてください」

「「「はーい」」」


 ・・・何だろう。そんな場合じゃ無いけど、小学校とかの遠足の引率気分になる。

 俺は呑気に、しかし、スキルをフル活用して気配を探りながら子供達を引き連れて、通路を進むのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 《・・うん、有難う。けど暗殺は違うよね?誰も殺さないよ?まじで》  悪即斬、不幸を作り出してきた悪人は改心なんてしないから、もう悪いことできないようにする展開のほうが好き。
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