第九話 お出かけする約束をしました。
「あはは〜。二日連続でごめんね?エリシアちゃん」
終始落ち着いていた母様の命で、これまた終始落ち着いていたセバスがレイナを俺達が居た大広間に迎え入れていた。
「いえ、こちらこそお待たせしてしまって申し訳御座いません」
「いやいや、気にしなくて良いですよ。それに、いきなり来た私の方が常識外れですから」
落ち着きを取り戻した父が頭を下げて謝罪すると、それを笑って許し、逆に自分の方には例があるとレイナは認めた。
「そう言って貰えるとこちらも気が紛れます。・・・では、私は職務が有りますので、ここで失礼させて頂きます」
父はそう言って席を立ち、部屋を出て行った。ちなみに、兄と弟もまだ、この大広間に居た。弟は今も気絶していて口からエクトプラズムを吐き出していて、兄は・・・
「ゆうて いみや おうきむ こうほ りいゆ うじとり やまあ きらペペペペペペペペペペペペペペペペペペペペペペペペペペペペペペペペペペペ・・・」
ドラ○エの復活の呪文を唱えていた。セルフで復活しようとしているらしい。・・・異世界なのに何故知っているのか疑問だが・・・。
「それで、エリシア!一緒に遊びに行こう!」
「お断りさせて頂きます」
「ええー」
俺はレイナの言葉にすぐ否定の言葉を出したので、レイナは不満そうに顔をしかめた。
「何でダメなの?」
「先日も言いましたが、街の外は危険だからです」
俺は頑なとして首を縦に振ろうとしないからか、ションボリと肩を落としてレイナは帰ろうと腰を上げた。
が、それに母様が待ったをかけた。
「あら、良いじゃないエリシア。外に遊びに行っても」
「お母様!?」
俺は「行ってこい」と言う母様に驚愕の声を上げた。
「ええ、どうせ街の外と言ってもそこまで危険な魔物など居ませんし、エリシアも魔法系スキルを鍛えていますでしょう?」
「ええ、そうですが・・・」
母様の言葉に俺が頷くと母様は手を打ち合わせて言った。
「なら良いではないですか。早いうちに何事も経験すべきですよ。それに・・・レイナ様?」
「?何でしょうか」
いきなり名前を呼ばれたレイナは首を傾げながら返事をした。
「護衛の方々も、お供として連れていかれるのでしょう?」
「ええ、もちろんです」
レイナは母様の言葉にコクリと頷く。そこで母様は笑みを深めた。
「ほら、護衛の方々もいらっしゃるようだし安全でしょう?」
「・・・分かりました。行きましょう」
俺は母様の言葉に折れて、レイナに参加する旨を伝えた。
「本当!?」
「ただし、今日では無く、後日という事で宜しいでしょうか?」
「え、何で?」
俺の言葉に不思議そうに尋ね返してきたレイナに俺は答えた。
「私にも準備があるのです」