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第十五話 冒険者ギルドアストリア王国王都ガリアード支部

 その後、『無事に記憶を取り戻したが人格までは戻らなかった』として、ゴルゴーレス侯爵子息の治療は終わった。


「では」

「あ、はい・・・」


 そして、リーナシアは終始俺に対し冷たいままだった。・・・いや、莉奈はヤンデレって聞いてたからバレなくて良かったんだろうけど、何だかなぁ。


 そして、本日の授業が終わり放課後になった今、俺は冒険者ギルドアストリア王国王都ガリアード支部に来ていた。・・・ちょっと長いな、ここの名前。


 勿論、今回の装いも長い銀髪をポニーテールに纏め、セルムレイトで登録した時と同じ動きやすい服と皮鎧、そして鉄剣を腰に下げた姿だ。


(・・・どうしよう。凄く、凄く帰りたい)


 俺は口から溜息を零しそうになるのを我慢しながら、ギルドの大きな木扉を押し開けた。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 俺が中に入ると同時に、ざわついていたギルド内の冒険者や受付の人達が黙り、俺をジッと見つめてきた。そう、セルムレイトでの再来だ。

 俺は内心で「またかよ・・・」と溜息を吐きたくなるのを我慢しながらそのまま歩みを進める。『とにかく、早くキャサリンを見つけ出して用事を終わらして帰りたい』その一心だった。


 1人の受付嬢の前に来ると、俺は声を掛けた。


「あの・・・」

「・・・あ、はいっ?!」


 俺が声を掛けると、受付嬢のお姉さんはハッとして、慌てて返事をした。


「え、えーっと・・・何か依頼でしょうか?」

「いえ、冒険者ギルドセルムレイト支部ギルドマスターのキャサリン様に呼ばれて来たのですが」


 俺がそう言うと、受付嬢のお姉さんは困ったような表情をした。


「こーら、嘘はいけないよ?」


 嗜めるように言われた。どうやら信じられていないみたいだ。


「いや・・・。嘘ではないのですが」

「もうっ、他に用事が無いなら帰りなさい」


 俺の話を聞こうともせず、帰らせようとする受付嬢。・・・彼女も帰れって言ってるし、もう帰っていいよな?よし、帰ろう。


 俺は渋々(というように演技をして)帰ろうとしたその時、


「あらっ!来てくれてたのねぇっ!!!」

「キャ、キャサリン様!?」


 野太く、そして何処か可愛らしさを何故か感じる声と、先程の受付嬢の驚く声が背後から聞こえてきた。


「・・・って、あらん?何で帰ろうとしてるのかしら?」


 振り向くと、不思議そうに首を傾げるスキンヘッドの眼帯をつけたオネェさん・・・キャサリンが居た。


「いや、そこのお姉さんに帰れって言われて」


 俺は素直に答えると、キャサリンは俺の視線の先にいた、つまり自身の左にいた受付嬢を見た。


「あらあらあら?どうしてそんなことを言ったのかしらん?」

「し、失礼ながら、冒険者の方には見えなくて・・・」

「・・・まぁ、確かにねん」


 受付嬢の言葉に納得するように頷くキャサリン。・・・悪かったな、冒険者に見えなくて。


「けど、それじゃあ理由にはならないわよね?仕事はしっかりやらなくちゃ、ダ・メ・よ♡」

「は、はいっ!!」


 ウインクしながら受付嬢に注意するキャサリン。思いっきりアウトローにしか見えないのに、いい上司っぷりを発揮するキャサリン(オネェさん)。キャサリンを見てると、「人を見た目で判断してはいけない」って事がよく分かる。そんな気がするのだった。

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