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第十四話 転生者アルシノ・フォン・ゴルゴーレス

「ちょ、ちょっと待って下さい!?」


 俺に引っ張られたエレンシアさんを無視し、俺は『聞き耳』のスキルを使用した。


『聞きますけど貴方、日本人ですか?』

『な、なんで知ってるんですか!?』


 よし、バッチリと聞こえている。・・・しかし、ゴルゴーレス君よ。君は驚き過ぎじゃないかね?


「あ、あのちょっと・・・?」


『知ってるも何も・・・私も転生者、元日本人だからですよ』

『な・・・っ!?』

『・・・驚き過ぎじゃないですか?』


 リーナシアもツッコんだ。やっぱり、ゴルゴーレス君は驚き過ぎだよね。


「お、おーい・・・」


 しかし、何故三人目の転生者についてエクリシオンは言及しなかったのか?それが気になるな・・・。


「・・・ぐすっ」

「・・・って、あっ!?ご、ごめんなさい!!」


 背後から涙声が聞こえ振り向き、エレンシアさんを放置していた事に気が付き、慌てて慰めるのだった。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





Sideリーナシア


 エリシアとエレンシアを追い出し、私は医務室で転生者と判明したゴルゴーレス侯爵家子息と話していた。


「それで、貴方の前世の名前は?」

「あ、はい!!(ひかる)光井(みつい)光です」

「光井光・・・」


 ゴルゴーレス侯爵子息・・・光井君の名前を聞き、私は予想はしていたが落胆した。


(やっぱり・・・、りゅー君じゃなかった)


 「はぁ・・・」と、分かっていてもつい、溜息を吐いてしまう。


「あ、なんかすみません・・・」


 私が零した溜息を拾い、光井君は申し訳無さそうに言う。私はそれに対し、「気にしないで下さい」とだけ、答えた。


「それで、貴方は天使に会いましたか?」

「はい?」


 光井君は一瞬「何言ってんだこいつ」と言ったような目で私を見た。それに対し、キッ!と睨むと、「あ、すいません」と直ぐにへし折れた。・・・見た目はかなり厳ついのに・・・。


「冗談でも何でもなく、私は転生をする時に、天使を名乗る男に会いました」

「ふぇ!?」

「それが貴方にはなかったか、を聞いたのですが・・・。その様子だと無いようですね」


 私の言葉にコクリと頷く光井君。その姿を見ながら、内心で呟いた。


(もしかして、転生には天使の関与しない場合もあるのでしょうか・・・?ならば、他の転生者も居るのでしょうか?)


 しかし、この場で考えても何も答えは出ない。取り敢えず私は、闇魔法で『アルシノ・フォン・ゴルゴーレス』の記憶を引き出し、頭に植え付けた。


「ほ、本当に貴族だったんですね、僕・・・」


 力なく笑う光井君は戸惑っているようだった。

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