表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

130/155

第十二話 エリシアとリーナシア

 ゴルゴーレス侯爵家の三男坊が、レイナの魔法によって(正確には魔法で吹き飛ばされた時に頭を打って)記憶を失った。

 過去の記録には魔法治療やショック療法などの治療法も載っていたが、ショック療法は危険との判断が医者から出され、魔法治療にいたってはその治療が可能な魔術師が居ないのだ。

 怪我などを治す魔術師は居るが、記憶に干渉できるほどの腕前の闇魔法を使える者が現在我が国にもいないのだ。

 ・・・そんな時、「私、闇魔法LVMAXです」と名乗り出た者が居た。

 それは、リーナシア・フェル・ファルミーユ。ファルミーユ帝国第四皇女にして、俺の前世の幼馴染の東雲莉奈が転生した転生者でもある。

 そんな彼女が名乗り出た為、ゴルゴーレス君の魔法治療を行う事が決まった。


 そして、俺は治療する時のサポートとして魔法治療に携わる事になった。教師陣からそれほど信頼されているからだろう。・・・何故かは知らないが。


 そんな訳で、俺は今、リーナシアと一緒にゴルゴーレス君の居る医務室へと向かっていた。

 その間、お互いに話さないから長い沈黙が続いていた。


(き、気不味い・・・)


 気不味さを感じ、俺はリーナシアに話しかけることを決めた。


「そういえば・・・。こうやって二人で話すのは初めてですね」


 そう言って『演技』スキルと『ポーカーフェイス』スキルの力を借りて笑顔を引攣らなのようにしながら話しかけた。


「そうですね」

「・・・えーっと、今日はいい天気ですね」

「別に」

「あ、はい」


 会話終了。え、何これ?莉奈ってこんな素っ気無かったっけ?俺が話しかけるといつも凄い笑顔で頷いてたのに。


(・・・って、ああ。俺が竜人だという事に気付いて無いからか。惚れた男の前では女は変わるってレイナに聞いたことあったけど、本当だったのか)


 俺はリーナシアから顔を背けると、「はぁ・・・」と溜息を零してしまうのだった。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





Sideリーナシア


 エリシア・フォン・アルゲート。彼女に対しての私の印象は「作り物」だった。

 普段から少し作った笑みを浮かべて、貴族の令嬢らしい喋り方からも嘘っぽさが滲んでいた。まるで、無理に令嬢を演じているかのように。

 恐らく、本当の彼女は違うのだろう。しかし、周りの令嬢子息達は簡単に騙されていて、誰も彼女に疑念を抱かない。

 だから、私はそんな彼女に対し、嫌悪を抱くのだ。

 なのに・・・


(何で彼女が治療の助手なのだろうか)


 私は彼女を助手に付けた教師陣に苛立ちを覚えながら、話しかけてくる彼女に対して、冷淡になるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ