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第八話 合同訓練② 相手

 その後、何とかキャサリンショック(俺命名)から立ち直った級友達は、それぞれ、自分の武器を持つと、二人一組となった。

 そして、俺の相手は謎多き第三王子、ポルックス殿下。・・・ではなく、


「あのっ!どうぞよろしくお願いします!」


 長いストレートな黒髪を揺らしながら頭を下げてきた気弱そうな女の子だった。


「はい。此方こそよろしくお願いします。・・・私の名前はエリシア・フォン・アルゲートです。・・・と、言っても、先程まで騒いでいたのですし、名前ぐらい知られると、思うのですが・・・」


 俺がそう言って微笑むと、少女はこくこくと頷いた。


「ところで、えーっと・・・」

「あ、すみません!私はアルメりゅっ!!」

(あ、噛んだ)


 少女は勢いよく舌を噛み、口を押さえてプルプルと震えた。その震えは痛みよりも羞恥の割合が多いのだろう。顔がとても赤く、耳まで朱に染まっていた。


「・・・ゆっくりで良いですよ?」

「・・・はい」


 しょんぼりと俯きながら返事をすると、少女は少し小さな声で改めて名乗った。


「アルメル・フォン・ブローテス、ブローテス伯爵の娘です」

「はい、ではよろしくお願いしますね?アルメル様」

「・・・はい」


 アルメルはまだ舌を噛んだ事が恥ずかしいのか、俯いたままだった。しかし、俺は内心、「面白そうな子の予感がする!」と思っていたが。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 私の名前はアルメル・フォン・ブローテス。才能が無い私だが、家がギリギリ上位に入る伯爵家の為、私はBクラスに在籍出来ていた。

 そんな私は今日、いざという時の為に必要となる、戦闘技能を磨く為の合同訓練を行う事になったのです。


 そして、合同訓練での相方役を見て、私は驚愕した。


(えーっ!?何で何で!?合同訓練なのは知ってたけど、これってあり得るの!?)


 私の目の前に居たのは、アルゲート伯爵家の令嬢、エリシア・フォン・アルゲート様だった。

 エリシア・フォン・アルゲート伯爵令嬢。五年前、王城内に突如として現れた悪魔を討ち倒した新しい英雄として認識されている、私とは全く違う世界に住む方。そんな彼女が、何故私の目の前に!?と、とにかく挨拶しないと!!


「あのっ!どうぞよろしくお願いします!」


 舌を噛むといった失態を見せてしまったのに、エリシア様は優しく笑いかけてくれた。


(ああ、優しい人だなぁ)


 エリシア様の笑顔を見て、有頂天になっていた私は、英雄の相手を務めると言う事がどういう事か分かっていなかったのだ。

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