第七話 合同訓練① 再開の〇〇
戦神のボルキニオスに会った次の日である今日は、学級合同の訓練が有る。
俺が所属するAクラスはBクラスとの合同だそうだ。
因みにBクラスは、カストル殿下の双子の弟、ポルックス殿下の所属するクラスだ。・・・何事も無いよな?
俺は溜息を吐きそうになるのを我慢しながら、準備をするのだった。
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屋外修練場に着くと、そこには既に教師が立っていた。
「皆さん。知ってはいると思いますが、本日はAクラスとBクラスの合同訓練です。本日の為に、特別講師の方にお越し頂きました」
先生がそう言って、一歩下がると、端の方からのそりと大きな影が姿を現した。
「は〜い♡皆さんこんにちはっ☆私はセルムレイト冒険者ギルド支部の支部長、キャサリンよ。よろしくねん♪」
『・・・・・・・・・』
周囲の級友達が固まった。それはそうだろう。キャサリン(本名、レオパルド・フォン・アースライド)はスキンヘッドに眼帯、そして筋骨隆々といった男らしい見た目で、乙女のような仕草をするオネェさんなのだから。
(・・・マジか)
まさかの再会に、俺は内心溜息をついた。彼とは以前にセルムレイト冒険者ギルド支部で出会った事があり、その時、更なる属性をそこの受付嬢のハーマインさんに教えられてから、出来れば会いたく無いと思っていた人物なのだ。
(・・・というか、冒険者支部の支部長がホイホイあちこちに行くなよ!)
内心でツッコむと、そのツッコミに答えるかのように、先生が説明してくれた。
「えー・・・此方のレオパ「あ゛あ゛ん゛っ?」・・・キャサリンさんは、この学院の卒業生なのです。冒険者では、竜殺しの名で有名な人物です。本日は、彼が冒険者ギルド本部で行われている定期的な報告会と時期と重なった為、特別に来て頂きました」
先生の説明の途中でキャサリンが出した野太い威圧声に、生徒達は震え上がった。うん、分かるよ。凄い怖かったもんね。俺も少しビビったもん。
ピロリン!ユニークスキル『精神安定』の効果を発揮します。
あ、恐怖心が無くなった。
ホッとして顔を上げると、キャサリンと目があった。
「あら?あらあらあらっ!?何でここにエリシアちゃんが居るのかしらっ?これって運命かしらっ!」
「ご存知で?」
キャサリンは興奮したように話す。すると、当然のように疑問に思ったようで、先生がキャサリンに尋ねた。
「ええ。彼女、以前私の所の冒険者ギルドで冒険者登録してくれたのよ。何でここに?」
「彼女は、アルゲート伯爵家のご息女で、悪魔殺しの若き英雄ですよ」
先生が答えると、キャサリンの目がキラリと光った気がした。
「へぇ〜・・・。よし、分かったわ!エリシアちゃんっ♡後で冒険者ギルドにいらっしゃい♪私の権限でランク上げてあげるから♡」
「あっ、はい」
俺はキャサリンの笑顔の圧につい、反射的に頷いてしまった。そして気付いた時には、話が進んでしまっていた。・・・けどまぁ、俺にとっても良い事だし、いいか。




