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第五話 ジェヴォーダンの誕生秘話

「いやいや、凄えのはお前らだよ」


 俺の呟きを拾ったボルキニオスがガハハハと豪快に笑いながら答えた。


「あの犬っころ、実は昔に俺らみたいな神族が加護を与えた奴が、長い時と魔法、そして神の加護をフル活用して生み出された生物兵器だからよ」

「生物兵器って・・・何のために」


 俺が思わず呻くように疑問を言うと、ボルキニオスはこめかみの辺りをボリボリと太い人さし指で掻いた。


「堕ちた神族・・・『堕神(だしん)』を滅ぼす為にさ」

「堕神・・・?堕天使とは違うのか?」


 新しい単語に俺はまた首を捻る。そんな俺の言葉をエクリシオンが和やかに笑いながら否定する。


「違いますよ。天使は下から下級、中級、上級、と三つのランクに分けられています。が、私も属する上級はもうすぐ神族・・・所謂『神』に昇格される間近なエリート達なんですよ」


 えっへん。と自慢するように胸を張るエクリシオン。・・・これが神へと昇級間近のエリート?


「・・・無いわー」

「無いってなんですか!?流石に泣きますよ!?」


 思わず口から漏れた俺の言葉にエクリシオンが思い切り食ってかかった。それを慌ててシエラが宥めようと止める。


「あー・・・まぁ、性格はかな、じゃなくて少し残ね、ゴホンッ、特徴的だが、実力自体は申し分無いんだよ」

「二回ぐらい言い直してない?」

「気にすんな」


 誤魔化すボルキニオスをジーと見つめると、フイッと視線を逸らした。そして、ピタッと止まった。

 少し気になり、ボルキニオスが見ている方向に視線を向けると、


「フシャーッ!」

「ちょっ、ちょっと落ち着いてー!」


 いつの間にか離れて威嚇する猫のような声を上げながら興奮するエクリシオンを必死になって羽交い締めにするシエラの姿があった。・・・神様も大変なんだな。

 俺はその光景を見て、しみじみとそう感じたのだった。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 数時間後・・・。


「ボルキニオス、少しは手伝ってくれても良かったんじゃ無い?」

「あー・・・まぁ」

あー・・・まぁ、じゃないよ。全く・・・」


 ジト目で睨んでいた視線をボルキニオスから外すと、シエラは俺を向いた。


「えっと、待たせてごめんね?」

「いや、俺も悪かったし。・・・ところで、あれ、良いのか?」


 俺はそう言ってあるものを指差しながら尋ねた。それは、

 白い床に逆さまに腰まで刺さり、所謂犬○家で通じるような姿になったエクリシオンだ。


「大丈夫だよ。彼、回復だけは早いから。エリシアも知ってるでしょ?」

「ああ、確かに。・・・改めて思うと、俺って神様相手にアイアンクローとかしてたんだな。不敬罪的なやつで天罰下る?雷落ちる?」


 神様二柱に尋ねると、二柱は呆れた顔になった。


「いや、神様に対して気安く接する奴が、たかが神様予定の奴にアイアンクローした程度でビビるか?」

「どちらかと言うと、私たち相手の態度が不敬罪・・・的な奴じゃない?」

「・・・それもそうだな」


 二柱の言葉に納得して頷くと、犬○家していたエクリシオンが自力で這い出てきた。


「いや、私の心配は!?」

「「「自力で脱出出来る奴に心配する必要あるか(の)(かよ)」」」

「辛辣ぅ!?」


 俺達一人と二柱の言葉にエクリシオンは両手を狐の形にして変なポージングで「辛辣ぅ!すっごい辛辣ぅ!!」と騒ぐのだった。

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