第七話 来客は突然に
とある日の朝です。
ステータスカード授与の日から二日経ったある日、俺は最近の日課になりつつあった新スキル取得を終えた時の事だった。この日は『彫刻』『刻印』『調合』のスキルを新しく覚えたのだった。
(しっかし・・・俺も美少女になったなぁ)
俺は鏡を見ながらそう心中で呟いた。・・・別にナルシストじゃないよ。本当だよ。これでも中身はまだまだ男のつもりなんだよ。
ピロリン!ユニークスキル『精神安定』を取得しました。
・・・また増えたよ新スキル。しかも今度はユニークか。
俺は溜息を一つつくと、風呂に入った。最初はメイドさん達が俺の体を洗おうとしたけど、何度も拒否して抵抗した為、今ではメイドさん達も入って来ようとはしなくなった。けど・・・
「まだ幼女だから欲情しないから良いけど、いつまで経っても慣れないなぁ」
俺は少し恥ずかしげにタオルで体を隠して鏡をできる限り見ないように入浴をしたのだった。
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浴場から上がると、屋敷が少し騒がしかった。
(どうしたんだろうか?)
俺は疑問に思いながらも、火魔法と風魔法を利用した温風で髪を乾かした。もちろん、水魔法も同時並行で発動させて、髪に潤いを保たせている。こうでもしないとメイドさん達が煩いのだ。「お嬢様の美しい御髪がぁーっ!!」といった風に。
俺はドレスを控えていたメイドさん達に着せて貰った。いや、なに甘えてんだよと言われそうだけど、貴族の女性の服って自分一人で着るのはとても難しい上に、メイドさん達が「私達にもお世話をさせて下さい!」と声を揃えて言うから仕方なくやって貰っている。だって恥ずかしいもの。
「ねぇ、何か騒がしいようだけど・・・何かあったの?」
「ええ、お嬢様にお客様です」
「私に?」
俺はつい、首を捻った。何故なら心当たりがないからだ。誰か居たっけ?俺に用がありそうな人。
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・・・居たよ。
俺は呆れながら目の前にいる人物を見た。
「エリシア!一緒に遊びに行こう!」
その人物・・・レイナ・フォン・メルアードは、とても良い笑顔でそう言った。