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幕間 それぞれの思惑

「……ジェヴォーダンがやられたか」


 エリシア達から遠く離れた場所で、ジェヴォーダンとエリシア達との戦闘を見ていた者がいた。


「そして憤怒の魔王として覚醒したか。これにはベールセークの残党どもも大慌てだろうな」


 遠くを見るスキル『望遠』を切ると、黒い肌の鋭い目つきの男は背後へと振り向いた。


「それで、何か用か?サタナキア」


 男がそう呼ぶと、木陰から幼さの残る顔立ちの黒衣の少年が現れた。


「やだなー。そんな殺気立たないでよ。同じ『傲慢』の魔王様に使える仲間でしょ?」

「貴様みたいな快楽主義者と一緒にするな」


 男は憎々しげに鋭い目を更に鋭くした。


「おお、怖い怖い。せっかく蘇らせた魔獣が直ぐに再封印されて泣いてるかと思って慰めに来たのに」

「嘘をつくな嘘を」

「ありゃ、直ぐにばれちゃった。……まぁ真面目な話、新しい魔王が誕生した訳で、我らが魔王様も気にしてるんだよね」

「……つまり、新たなる憤怒の魔王の監視をせよ。ということか」

「その通り!流石はサミジナ。頭の回転が早いね」


 真面目な顔となった黒衣の少年……サタナキアはそう言って肯定した。それを黒い肌の男……サミジナは憎々しげに舌打ちを一つした。


「喧しい。……それで貴様は報告係として顎で使われたのか?」

「違うよ。僕は君のサポートさ」

「帰れ」


 サミジナは端的にサタナキアに向かってそう言うと、視線を外した。


「相変わらず人付き合いの悪いー。……この場合は悪魔付き合いかな?」

「どちらでもいい」


 素気無く扱われ、サタナキアは唇を尖らすのだった。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





同時刻。アストリア王国立学院。


「……気配が消えた?」


 昨夜に夜会が終わり、出席していた貴族の子息令嬢達が思い思いに過ごしている中、一人、空き教室の内の一室で森の方角を見ている少年が居た。


「……まさか、あの古の魔獣を封印出来る程とはな」


 それはアストリア王国の第三王子であるポルックスだった。


「……今後、色々と起こりそうだな。……まぁ、楽しませてくれや。新時代の英雄さん」


 ポルックスはニヤリと整った温厚そうな顔とは似合わず、獰猛な笑みを浮かべ窓のそばから離れた。振り返ったその時には獰猛な笑みは消え、普段通りの温厚な笑みを浮かべているのだった。

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