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第十三話 課題達成!

「グレンさん、ブルームさん、大丈夫でしたか?」


俺は振り向いて、二人に怪我はないか確認を取ろうと声を掛けるが、返事が無い。それもそのはず、なぜか二人は固まっていたのだから。


「・・・あの、グレンさん、ブルームさん?」


もう一度俺が声を掛けると、ハッとして硬直が溶けた二人は、それぞれ「す、すまねぇ」「ご、ごめんなさい!」と謝罪の言葉を投げかけてきた。

俺は何故謝罪されるのか分からず、内心首を捻っていると、ハッ!とある考えが浮かんだ。もしやこれは、暴言を吐いてしまったことに対する謝罪か!


「いえ、気にしなくて良いですよ」


俺はにっこりと微笑んで、気にしなくて良いと言うと、グレンとブルームはボッ!と顔を赤くした。そして二人の視線の先は、俺の後ろに注がれている。この反応は・・・。


(レイナとレティシアに恋しちゃったか?まぁ、二人共、カッコ可愛いしな!)


俺は内心、少年達の淡い恋心に気が付き、エールを送るのだった。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





(・・・とか、エリシアは思っていそうですね)


私、レティシアは、顔を朱に染めた二人の少年を見つめてニコニコした微笑みに、ニヤニヤとした笑みが少しだけ混ざった事に気が付いていた。


(元が男性だったからか、男心は分かるのに、男性の恋心の対象には自分が選ばれるはずがないと思ってしまってるんですよねぇ)


私は、叶いそうも無い二人の少年の恋に、少しの哀れみを感じるのだった。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





グレイウルフの死体を取り敢えず俺の『無限収納』に放り込んで移動を再開した。


「あのっ!エリシア様!これがモンキーソファですか!」

「少し待ってて下さいね。・・・ああ、そうです。それがモンキーソファですね」


俺は図鑑と『鑑定』スキルの両方で確認を取り、頷いた。


「じゃあこれで俺達の班は課題クリアって事ですね!」

「ええ、そうですね。・・・ところで、グレンさん?」

「?はい、何でしょうか」


俺は、先程から疑問に思っていた事を尋ねた。


「何故、突然丁寧になったのですか?」


俺のその疑問に、グレンはギクリと固まった。そして、暫くオロオロと視線を彷徨わせ、観念したのか肩を落とし、溜息を吐いた。


「いやあの・・・。流石に命の恩人にあんな風に失礼な態度は取れませんよ。それに皆さんはあの男と違って、尊敬の出来る貴族だと言うことが分かりますから!」

「そ、そうですか」


俺はつい、グレンの勢いに押され、それしか返せなかった。が、グレンの言うあの男とは恐らく・・・。


(平民に威張り散らしているという例の男爵家の子息だろうな)


俺が、そんな思考に没頭していると、不意に袖を軽く引っ張られた。


「エリシア?何考え込んでるの?」

「いえ、何でも無いですよ。レイナ様」


俺は、袖をチョイチョイと引っ張っていたレイナに微笑みながらそう答えた。


「それなら良いけど。・・・じゃ!目的も達成したし、早く集合地点に向かおーう!」

「「「「おーう!」」」」


レイナの声に俺達は声を合わせて、答えるのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 恋の話と言えば、百合百合イチャイチャ要素が中々足りないですw
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