第十一話 収集は順調です
第五章のタイトル、変えました。
そして、外伝も書き始めようと思います。シリーズで纏めたので、そちらからどうぞ。
「あ!ユムガ草あったよ!」
レイナが摘み取ったユムガ草を俺に渡して来た。
「これでユムガ草とズヲホア草は集められましたね」
「後はモンキーソファだけですね!」
俺の言葉にレティシアは嬉しそうにニコニコと言った。
「・・・チッ!貴族なんかに負けるかよ」
「グレン君・・・」
相変わらず、なぜか反発するグレンとそのグレンを心配そうに見つめるブルームとは、なかなか話せずにいた。
「レイナ様」
「ん?何?」
俺はレイナに声をかけた。レイナは摘み取ったユムガ草を腰の袋に入れながら、首を傾げた。
「グレンさんは何故、私達に敵愾心を向けるのでしょうか」
「ん〜・・・。分かんない」
俺とレイナが話し合っていると、レティシアが話に入って来た。
「エリシア様。彼等とは同じ学年なので少しは知っているのですが、どうやら彼は男爵位の子息に良く絡まれているようで」
「つまり、イジメですか」
「まぁ、そういうことですね」
俺はレティシアの話を聞いて溜息を吐いた。異世界でもイジメはあるようだ。
「それがグレンさんのあの態度につながるわけですか」
「けど、男爵位より上の位の公爵位と伯爵位の令嬢にケンカを売るなんて馬鹿なのでしょうか?」
「・・・毒舌だなぁ」
レティシアの歯に衣着せぬ言葉におもわず素で喋ってしまった。
「エリシア、レティシア。何話してるの?」
レイナが不思議そうに首を傾げながら尋ねて来た。
「いえ、何でもありません」
「?そう。なら良いけど。それよりも早くモンキーソファを探しに行こうよ!」
レイナがそう言ってグイグイと俺達の袖を引っ張って行こうとする。俺は思わず苦笑いをしていたが、『気配察知』のスキルに何か反応があった。そして、それは物凄い速さで迫ってくる。
「みなさん!何かが来ます!」
俺がそう叫ぶと同時に茂みから灰色の狼が現れたのだった。