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がーるすぺしゃる  作者: oga
ラストバトル
66/69

王の間

「じばっだ……」


 ゼルダは不覚を取った。

その竜は明らかに敵意を抱いており、刹那、尻尾でなぎ払われ、壁にそのまま打ち付けられた。


「ゼルダ様!」


 ゼルダは壁にめり込み、刺さった釘のように身動きが取れない。

テリーが砕けた骨を修復するも、背後から竜が迫る。


「お爺ちゃん!」


 ガールが叫び、飛び出そうとするも、すぐに足が竦んだ。

相手は5メートル以上の巨体で、しかもいきり立っている。

ヨシコは腰が抜けたようにその場に尻餅を着き、言葉にならない声が口から漏れていた。


「た、たしゅけ…… あひ……」


 その時、咄嗟にカボが動いた。

カボは、手にしていた剣ですぐ脇にいた味方サイドの赤い竜に刀身を突き立てた。


「えっ」


 ガールは、カボが何故そうしたのか一瞬、分からなかった。

しかし、赤い竜がガールをスルーして目の前の竜に突撃したのを見て、理解した。


(そうか…… 電車でヨシコを操ったみたいにして、竜の操ったんだ)


「グルアアアアアーーーッ」


「ガルアアアアアーーーッ」


 竜と竜が激しく揉み合っている最中に、ガールはヨシコの手を掴み、ダッシュした。

その後ろから、テリーがピョンピョンと走ってくる。


「テリー!」


「ゼルダ様の言いつけです。 あなたを援護します!」


 テリーの時間を戻す力があれば百人力である。

2人と1匹はとうとう、王の間へと足を踏み入れた。










 王の間は学校の体育館位の広さがあり、その一番奥の壁際、一段高くなった所に王座がある。

そこに、一人の男が座っていた。

ガールは一歩踏み出し、確認した。


「あなたが、ヘンドリクセンさん?」


「……」


 その男は、頭に王冠ではなく、シーサーの様なかぶり物をし、上半身は裸。

赤いマントを一枚だけ羽織っていた。 

男は立ち上がると、叫んだ。


「なーんくーる、ナイサーッ!」


 男の美声が王の間に響き渡る。

ヨシコが唖然として言った。


「……え、こんなアホみたいなヤツがヘンドリクセン?」


「何かのミュージカルに出てきそうかも……」


 ガールは、某有名百獣の王が出てくるミュージカルの主人公を思い出した。

もっとも、セリフが微妙に違うが……

テリーが、冷静な声で言った。


「何かが、おかしい」


「え……」


 目の前のヘンドリクセン王と思われる男は、良く観察すると、異常なほどに汗をかき、足元には水たまりが出来ていた。

しかも、なんくるないさーっ、と自分に言い聞かせる様に連呼している。

その様子に、何か得体の知れない恐怖をガールは覚えた。

その刹那であった。

ヘンドリクセンと思しき男は、首からぶら下がっていた丸いピンの様なものに指をかけた。


「影武者だっ!」


 テリーが叫ぶも、ガールたちは反応出来なかった。

男がピンを抜くと、協力な熱の塊が体内から放出された。


「つっ……」


 ガールは目をつぶった。

男は、テリーの言うとおり影武者で、自分の体内に爆弾を仕込んでいた。

その時、叫び声が聞こえた。


「逃げてっ!」


 テリーであった。

ガールがうっすら目を開けると、どういう訳か、目の前の男はまだ爆発していない。

テリーは懐中時計を手にしていたが、ガラスにヒビが入っている。


「時間を止めました。 約1分、猶予があります。 逃げて下さい」


「テリー、あなたは!?」


 テリーは遠くを見るような、どこか儚い表情をして、こう言った。


「……懐中時計は壊れてしまいました。 私の役割は終わりです。 私の家族を奪ったヘンドリクセンを、必ず見つけ、倒して下さい」


 テリーは、元々ヘンドリクセンの奴隷だった。

テリーには魔力があった為、多少なり優遇されていたものの、他の家族にはそれがなく、家畜のように虐げられ、殺されていた。

テリーはヘンドリクセンの元から逃げ、復讐するため、ゼルダに協力したのだった。


「それよりガールさん、急いで! あと30秒!」


 ガールは、テリーのことが気がかりだったが、余裕が無かった。

悔し涙が目に滲むも、アヘアヘ言って動けなくなってしまったヨシコの肩を担いで、何とか王の間から抜け出した。


「お爺ちゃん!」


 すぐ横には、身動きが取れないゼルダ。

近くで揉み合うカボが目に入ったが、どうすることも出来なかった。


「……御免なさいっ」


 ガールが城外へと出た瞬間、大爆発で跡形も無く城が消し飛んだ。

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