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がーるすぺしゃる  作者: oga
ラストバトル
64/69

風穴

「はあっ!」


 マァムは、柄を握り込み、剣をミキサーの様に回転させ、そのまま相手の頭部を殴りつけた。

相手は、ギャッ、と短く悲鳴を上げると、ひしゃげた兜と共に、力なくドラゴンの背から抜け落ちた。


「切れ味が無くなったら、棍棒みたいにして使えばいいじゃない」


 しかし、こんな芸当が出来るのはマァムだけであろう。

マァムは、そのままガールたちの前に出ると、叫んだ。


「私が先陣切って道を作るから、ついてきて!」


 マァムは、竜の翼をバタつかせて更に高く舞い上がると、一気に敵の中へと滑空。

剣についた血をその場で振り払うと、それを掲げて突進した。

敵の竜がマァムに気付き、迎撃をしかける。

剣と剣がぶつかり、何度か火花を散らすも、中々道は開けない。


(くっそ、数が多すぎる)


 気付けば、そこら中に赤いドラゴンが旋回し、隙間が無いほどである。

手こずるマァムを見て、ヨシコが心配そうに声に出す。


「多勢に無勢よ。 あれじゃラチが開かないわ」


 するとガールは、出来るか分からないけど…… と意味深な言葉を口にした。


「どうする気よ?」


「……ヨシコ、協力して」


 ガールは、目を瞑ると、はあっ、と息を吐いた。

そして、目を見開き、掌からマーライオンの頭部をも模した、ミスト・ヘッドと、更にもう片方の手にトカゲの頭部を模した、バーナー・ヘッドを取り出した。

一度に二つのヘッドを取り出したガールの額からは、尋常でない汗が噴き出す。


「アンタ、無茶しないで!」


「お願いヨシコ、これで、あのドラゴンの周辺に霧を作って」


「……」


 ガールの体調が不安だったが、ヨシコは言われた通り、ドラゴンの群れに霧を張った。

まるで早朝の山頂の如く、辺り一帯が白い霧に包まれる。

ヨシコが言った。


「でもこれじゃ、目をつぶって運転してるのと同じよ。 群れを抜けようとスピード出したら、ぶつかっちゃうわ」


「分かってる。 次は、これ」


 ヨシコにトカゲの頭を渡す。

ガールは、集中力を全快にして、再度掌を宙に掲げた。

しかし、掌からは何も取り出せず、立ちくらみで意識が遠のきかけた。

態勢を崩す。


「ガール!」


 ふらり、と体から力が抜けて、その場からずり落ちる。

その時、ピタリ、とガールの体が静止した。


「えっ……」


「は、早く捕まえるのじゃ……」


 チカのサイコキネシスである。

チカはエスパーで、手を使わず、一瞬だけ物体を宙に浮かせる技を持つ。

しかし、対象が体程の重量物では、それは長くは続かない。


「くっ」


 ヨシコが手を伸ばすも間に合わず、またすぐに風にあおられ、飛ばされる。


「ぐる~っ!」


 もうだめか、みながそう思った時、りゅーすけ君が翼を広げてガールの体をキャッチした。

受け止めた衝撃で、ガールの目が覚める。

手には、最大限の集中と魔力で作り出した剣が握られていた。

風でうまく喋れない中、ガールが吠える。


「ヨシコ、これを熱して……」


「そういうこと…… 恐ろしいわね、アンタ! チカ、アレを受け取って!」


 チカのサイコキネシスでガールの手から剣が抜き取られ、そのままヨシコの前へと差し出される。

ヨシコは、バーナーでその剣を熱し、チカに命じた。


「これを、霧の中へ!」


「よく分からんが、了解じゃ!」


「お母さんっ、逃げてっ」


 微かな声を聞き、マァムは咄嗟に下方へと身を翻す。

熱された剣が霧の中にまっすぐ飛んでいくと、刹那、大爆発が起きた。


「キャアアアアーーッ」


 水蒸気爆発。

衝撃波で、りゅーすけ君の巨体が吹き飛ばされる。

ドラゴンの群れに、ぽっかりと大きな穴が開いていた。

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