空中バトル
先攻隊は櫓をスルーすると、空中から一気に攻撃を仕掛けた。
竜の口から炎が吐き出され、それが城の色々な場所に降り注がれる。
それに気付いた兵隊が、慌てて城から外へと出るも、既に辺りは炎の海である。
その様子を遠巻きに眺めていたガールは、疑問を口にした。
「ねぇ、何で気付かれてないのにわざわざ攻撃したの?」
その疑問に答えたのは、りゅーすけ君である。
「ぐるぅ、ぐる~るぅ!」
「えっ、お母さん、りゅーすけ君は何て言ってるの?」
「えっ、ヨシコさん、分かるかしら?」
「えっ、わたしに聞かれても分かるわけないでしょ!」
全員がチカの方を見る。
すると、呆れた様子でチカが答えた。
「りゅーすけ君の言葉は知る由もないが…… ワシの見解じゃと、恐らく敵を文字通りあぶり出すつもりじゃろ。 そして、さっきの赤い竜がカラッポの城内に攻め込み……」
チカは手刀で自分の首にそれをあてがった。
「キングを獲るのじゃろ」
(えっ…… じゃあ、櫓の見張り、わざわざ叩く必要無かった?)
やっちまったかしら、とガールが考えていると、城から数匹の竜が飛び出した。
いよいよ、空中で交戦が始まり、続々と赤い竜が放たれる。
その中から3匹がこちらに向かって来た。
ヨシコが叫ぶ。
「ガール、来るわよ!」
「う、うん」
りゅーすけ君が口に炎を蓄え、丸い球体を作ると、それを3匹目がけて発射した。
まるで、夜の打ち上げ花火のごとく、その周辺が光で照らされた。
しかし、かなりのスピードが出ていたにも関わらず、その火球を3匹は躱し、一気に間合いを詰められる。
しかも、一匹が背後に回った。
みな、パニックに陥る寸前だったが、マァムが一喝する。
「みんなっ、前を向いて! 後ろのは私が殺るッ」
マァムは腰にあった刀を抜き放つと、りゅーすけ君の背から飛び出し、迫り来る背後の赤いドラゴンに乗り移った。
「くっ、貴様、大胆なヤツだな。 だが、俺はこの国のドラゴンライダーの中でも5指に入る。 この不安定な空の足場でなら、負けはせん!」
「うっさい!」
マァムはその乗り手を脳天から股下にかけて両断。
一瞬で命を奪うと、ドラゴンの手綱を掴んだ。
一方、ガール、ヨシコ、チカの3人は前方のドラゴンと相対していた。
「ヨシコ、アレ、試してみるわ」
「アレってどれよ!?」
「ちょっと待って…… えいやっ」
ガールは掌から杖のヘッドを出現させ、それをヨシコに渡した。
それは、蜘蛛の頭部を模したヘッド、グラビティ・ヘッドである。
ヨシコがヘッドを杖にはめている間、チカが時間を稼ぐため手品を披露する。
「え~、このスプーン、種も仕掛けもございません」
「知るかっ」
相手は竜に指示を出し、一瞬、翼を広げたかと思うとそれを寝かせてこちらに滑空。
敵の槍がりゅーすけ君の体をかすめる。
「手品やっとる最中じゃろ!」
「準備オッケー、いくわよ!」
ヨシコがグラビティ・ヘッドを滑空して後方へと移動した竜に向ける。
「くらえっ」
すると、相手が悲鳴を上げたかと思った次の瞬間、首が捻れ飛んだ。
「えっ」
「き、キャアアアアーーーっ」
「ちょ、何が起きたんじゃ!?」
グラビティ・ヘッドは相手を遠心力にかけて、重量で自由を奪う。
みな、そういう杖だと思っていた。
ヨシコがうろたえ、言った。
「く、首と体に別々の力がかかったのよ。 それで、首がねじ切れたんだわ。 ってか、ガール、大丈夫?」
「ううう、グロ注意だよぉ……」
グラビティ・ヘッドをそっと外したヨシコ。
後方では、マァムともう一匹の竜が戦っていた。
2匹はバチバチとせめぎ合い、マァムの刀には竜の血がベットリとついていた。
「ふっ、その刀では私を斬ることは出来ぬぞ」
「そうかしら?」




