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がーるすぺしゃる  作者: oga
ラストバトル
62/69

決行

「さあ、行くわよ」


 マァムが研いだばかりの刀を腰にすえて、アパートを後にする。

扉を開きかけていたチカが、まだ室内にいるガール、ヨシコに早く出るように伝えると、先に行くよう促された。


「何じゃ、忘れ物か?」


「作戦の最終チェックよ。 ちょっと時間かかるけど、すぐ追いつくから」


「……分かったわい」


 バタム、と閉まると、扉の前にいたガールがヨシコに向き直る。


「ヨシコ、作戦って……」


「そんなの嘘よ。 アンタに言っとかなきゃいけないことがあってさ」


「何?」


「しんどかったら、逃げなさい」


 思いも寄らぬ、ヨシコの提案だった。


「え……」


「マァムおばさんはあんな風に言ってるけど、そもそも、何かもアンタにとってはいきなり過ぎる話だわ。 それで世界を救う為になんちゃらって、心の準備、出来てないでしょ?」


 ガールは、ヨシコに図星をつかれ、動揺した。

しかし、すぐに涙目でヨシコにすがりついた。


「ヨシコっ、私、自信ないよ…… 急に世界を救えなんて、訳、分からない」


「そんなの当たり前よ。 人間、行きたくない場所には遅刻してったり、ズル休みしたり、そういう風にストレスから逃げるように出来てるんだから。 でも、アンタも思ってると思うけど、はぁ~…… やっぱり、やるしかない、のよねぇ」


「……」


 ヨシコも分かっていた。

もはや、自分たちが戦うしかない。


(でも……)


 ヨシコから逃げてもいい、と言われた時、一気に気持ちが楽になった。

気休めだとしても、ガールは嬉しかった。


「もちろん、アンタを一人にする気はないから。 私とアンタは一心同体よ。 アンタの失敗は私のせいだし、私の失敗はアンタのせい。 友達なんだから、当然よね?」


「……うん」


 ヨシコは、ガールを見て言った。


「死ぬときも一緒よ」


「……それは嫌かなぁ」


「何でよっ!」


 あはは、と笑いながら駆け出すガール。

もう、迷いは無かった。

自分には背中を預けられる味方がいるのだ。









 電車でサーターアンダーキに向かい、りゅーすけくんのいる倉庫へと向かう。

りゅーすけくんの背に、ガール、ヨシコ、チカ、マァムの4人が乗ることとなり、かなり窮屈な状況ではあるが、りゅーすけくんは外へと出ると、そのまま飛び立った。

4人が目指すのは、ゴーヤシティの中心部で、その姿は夜に紛れてかなり見えにくい。


「あれは!」


 ガールが叫んだ。

指差した先に、何かが飛んでいるのが分かる。


「先行部隊ね」


 ヤッシーアイランドから飛び出した、6匹の黒竜と、1匹の赤い竜。


「赤か混じっておるな」


 チカが呟くと、マァムが答えた。


「多分、相手のレッドドラゴン率いるライダーの中に紛れ込ませる作戦ね。 アレが、ヘンドリクセンを取る矢になるといいけど」

 

 その赤の一匹が離脱し、地上で待機する。

そうこうしている内に、城が段々と近づく。

もし、カボが櫓を壊すことが出来ていれば、一瞬でも相手の対応を遅らせることが出来るハズである。

そして、そびえ立つ櫓のような塔が見えた。

まだ、街は静まり返っている。


(そろそろ、相手が気付いてもいい距離かしら……)

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