真相
「ヘンドリクセンは、沖縄出身の元・冒険者よ」
マァムは、にわかには信じがたい事実を語り始めた。
「もう、数十年前に遡るかしら。 この世界には、裏側がある。 それが発覚したのは」
「裏側!? 何、ソレ」
「まだ私が大学院生の頃だったかな。 私は世の中の未知の地の踏破の為に、世界中を回っていた。 私の専攻は冒険科学。 ゼルダおじいちゃんは大学の教授で、異世界についての研究をしていたわ」
異世界についての研究者は世界に数人しかおらず、存在自体が眉唾で、学会でも空気扱いのような研究だった。
「おじいちゃんの仮説は、「世界はメビウスの輪になっていて、パラレルワールドが存在する」というもの。 夢があるのはいいけど…… それは小説の中だけの話で、もちろん、信じている学生も誰一人としていなかったわ。 私もその一人ね。 ところが……」
その学説を論文としてまとめ、発表した数日後のことだった。
そのもう一つの世界の存在を立証するものが現れた。
「……向こうの世界の人間が、コンタクトを取りにやって来たの」
「えっ!」
みな、目を見開いた。
ガールは、母親は文系出身だと思っていたため、経歴がすべて真逆だったことに驚いていた。
しかし、冒険者の父のことを考えると合点がいった。
出会いの場は大学だったのだ。
そして、次の瞬間には、母親のセリフに全ての意識を持っていかれた。
(もう一つの世界の住人!?)
「彼らはもう一つの世界への不可侵条約を結びに来たの。 文明はこちらの方が遙かに上で、戦争になれば彼らは滅ぼされると思った。 そこで、存在に気付いたこちらの人間とコンタクトを取り、戦争を未然に防ごうとした」
ゼルダの前に現れた使者は、論文の破棄を求めた。
しかし、ゼルダもずっと異世界を探していた者として、どうしても一目みたい。
ゼルダは交渉を持ちかけた。
「そちらの世界を一目だけ見せてくれ。 それが叶えば、論文は無かったものとして封印する」
「……ワカッタ」
こうして、ゼルダと数人だけが、もう一つの世界への侵入を許可された。
ヨシコが呟く。
「信じらんない……」
「もう一つの世界は魔法で光を屈折させて、巧妙に隠されていたわ。 こちらからあちらに行くには、空間のねじれた箇所を通らなければいけないけど、とある洞窟がそこだと教えてくれた。 おじいちゃんと私、研究室のメンバー合計3人がその世界へと足を踏み入れた」
その後、約束通りゼルダは論文を破棄したが、メンバーの一人、現在はヘンドリクセンと名乗る、難狂獅子男が再び異世界へと足を踏み入れた。
難狂獅子男は、こちらの世界の知識を使い、まるでなろう小説の主人公の如く無双。
そして、今の地位を気付いた。
ゼルダがその事を知り、ラインを送るも、時既に遅し。
難狂獅子男は、野心を燃やし、こちらの世界を手に入れると豪語した。




