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がーるすぺしゃる  作者: oga
ラストバトル
55/69

新たな杖

「えっ、もしかして、誰もお金、持ってない?」


 ピン、と空気が張り詰める。

それを破ったのは店員だった。


「……ちょっと電話しますね~」


「ま、ま、待って!」


 慌ててヨシコが店員の肩を掴む。

マァムも、ここで兵隊に突き出されるのはマズい、と思い、店員が店の裏手に向かうのを引き留める。


(ヤバイ…… 私、前科者みたいなものだし、次捕まったらどうなるか分からない……)


 金貸しに身柄を拘束され、奴隷として働いていたガールは、そこから抜け出した。

金貸しと国の兵隊は繋がっている為、見つかれば缶詰工場に逆戻りの可能性が高い。

すると、チカがこれ見よがしにため息をついた。


「まっったく…… 金なら銀行に取りに行けばあるわい。 お主ら、ワシにいくつ貸しを作るつもりじゃ?」


「貸し2、でしたっけ…… すいません、チカさん。 今回はツケってことで……」


「また調子のいいことを言っておるわ。 貸しの次はツケかいな。 どちらにせよ、必ず返してもらうぞ」


「はい! 分かってます」


 返事だけはいいな、とチカが銀行へと向かう。

その後、店員に服代を支払うと、店を後にした。

外に出ると、そろそろ夕方だから一旦チカの家に戻ろう、という話になった。

電車を乗り継いで、セカンドヴィレッジに戻ると、チカのアパートに一同は辿り着いた。

階段を上り、〇〇号室のあるフロアに来ると、腕を組んだ痩せた男がそこにいた。


「待っていたぞ、ヨシコ」


「……どしたのよ」


 ガールは、ヨシコに小声で確認した。


「あれ、誰?」


「話すと長くなるんだけど…… まあ、今度話すわよ」


「何々、気になるなぁ」


 ガールの質問をうやむやにしたまま、その男、アベゾーにヨシコは聞いた。


「私を待ってたって、用件は何?」


「君が手にしていた杖、あれを拝借して改造させてもらった。 中に入れ」


「お主、勝手にワシの家に入ったのか!」


 チカの家に置かれていた杖をアベゾーが勝手に持ち出し、それに新たに改造を加えた。

チカがわめくのを無視して、ヨシコとガールを部屋の中へと招き入れる。

乱雑に置かれた機材を跨ぐと、部屋の角に立て掛けてある杖が目についた。


「あれが私の杖?」


「そうだ、名付けて、タクティカル・ワンド。 5つのヘッドを自由に付け替えることが出来、状況に応じて臨機応変に使い分けすることが可能だ」


 以下、タクティカルワンドのヘッドの種類である。








その1、バーナーモード。

 

 ドラゴンの頭部を模し、その口の中に細いノズルがついている。

そのノズルには無数の穴が開いており、回転すると霧状の油が放出され、ドラゴンの口を閉じることで火花が出て、高温の炎が射出される仕組みである。


その2、ミストモード。


 マーライオンの頭部をしたヘッド。

ミストを放出し、対象の相手を霧で包み込む。

これにより、敵から見つかりにくくなる。


その3、グラビティモード。


 クモの頭部をしたヘッドで、蜘蛛の巣で相手の自由を奪うことを意味している。

物質は突き詰めると全て粒子で構成されており、特殊な電磁波でその粒子を回転させ、遠心力で重力を生み出し、敵の動きを封じる。


その4、コンバットモード。


 銃の形状をしており、魔力で生み出した弾丸を装填して、敵を制圧する。


その5、パラソルモード。


 パラソルの形状で、表面にソーラーパネルが貼り付けてある。 

これらを使うのに必要なエネルギーを太陽から得る。


 





 それらの杖と頭を見て、ヨシコが呆れる。


「アンタ…… 天才なのは認めるけど、バカなの? どうやってこんな頭持ち歩くのよ」


「その為のガール君だ。 君にこれらの頭の設計図面を渡す。 それらを理解してもらい、魔力で再現できるようにしてもらう」


「ええっ」


 アベゾーが十数枚に上る図面を抱え、そのままガールに押しつけた。

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