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がーるすぺしゃる  作者: oga
ラストバトル
53/69

脱出

(間に合わない!)


 ガールは苦し紛れに銃を取り出そうとしたが、それよりも剣の到達スピードの方が早い。


「ざらば! ……あれ!?」


 脳天に切っ先が触れた、と思いきや、ゼルダが振り下ろした剣は空振りし、地面に刺さった。

 







「あふぇ?」


 ガールは気が付くと、どこか見覚えのある部屋の中にいた。

一人がけのソファに小さな本棚。

中にはグラビアの雑誌などが並べられており、勤勉な感じでは無い。

辺りを見回すと、女の子が3人おり、老人が一人。


「え、ハーレム?」


 しかし、よくよく見ると、その3人はみな顔見知りであった。


「よ、よ、ヨシコっ」


 あまりに驚いて、ガタガタっ、と尻餅をつくガール。


「あははっ、何やってんのよ、アンタ」


「て、手、かして…… 腰抜けちゃった……」


 ヨシコの手を借りて起きあがると、全ての事情を説明された。

みな、ガールを取り戻すため、このエルフのじじいの所まで会いに来たのだ。


「……みんな、ありがとう。 私、もう少しで殺される所だった」


 自分の体を抱きとめるガール。

すると、老人が言った。


「ちょーっと、そろそろ出て行ってもらえんかな」


「はあっ、あんた、少しはガールを休ませてあげて!

……ガールを呼んでくれたことには感謝してるけどさ」


 ヨシコはガールを一人がけのソファに座らせ、コンロで勝手に湯を沸かし始めた。


「チカ、マァムおばさんも手伝って。 紅茶を入れたいから」


「あ、茶葉ならここにあるぞ。 あとハチミツが欲しいのぅ」


 チカがガサガサと引き出しから茶葉を取り出す。


「おじいちゃん、ちょっとどいて」


 マァムもじじいを横に追いやり、ハチミツが無いか探す。


「き、貴様らっ」


 その時、小屋を支えていたフックが重みに耐えきれず、外れた。


「キャアアアッ」


 みな、突然体が宙に浮いて悲鳴を上げる。

そして、ザバン! と胃酸の中に落とされた。


「だから言わんこっちゃない! 愚か者めが……」


「みんな、ちゃっちゃと退散しましょ!」


 ヨシコが浮かべてあったスイマー2号によじ登ろうとすると、エルフのじじいが先にコックピットに到達し、枠を掴んでいた手を足で蹴った。


「痛っ!」


「貴様らはここで溶かされてしまえ! この恩知らずめ」


 バタム、と扉を閉める音がする。


「やっば、どうすればいい? 何とか扉をこじ開けられない?」


「武器が無いから…… ダメ、硬くて開かない!」

 

 マァムが扉の隙間に爪をかけ、何とかこじ開けようとするも、ロックがかかっている。

剣があれば、隙間と隙間に刃を差し入れ、てこの原理でこじ開けることも出来たか。

チカが叫ぶ。


「急がんと、ワシら溶かされてしまうぞ」


 スイマー2号のスクリューが回転し、進み始めた。

同時に、水が流れ始める。

ガールも水流の音にかき消されないよう、叫んだ。


「魔法で鯨を嘔吐かせるつもりよ! ここから出れるけど…… 海の中に放り出されちゃう!」


「ど、どうするのじゃ!」


 みな、パニックになる。


「みんな、私についてきて。 私なら、ここから街のある大陸まで泳げるわ」


「アンタに水泳慣わせといて良かったわ」


「お母さん、まだ安心出来ないわ。 海は薄暗いし、吐き出された時散り散りにならないよう、みんなで手を繋ぎましょう」


 チカ、マァム、ヨシコ、ガールの4人は手を繋いだ。

そして、暗黒の海へと吐き出された。

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