再会
ヨシコ、マァムがガールを探してセカンドヴィレッジに向かう最中、ガールは夜空をずっと見上げていた。
先日、石を打ち上げてから、やはりまだ何も変化はない。
白い息を吐いて、ガールはずっとヨシコを待っていた。
(お願い、ヨシコ。 お願いだから、気付いて……)
石が光ったのは深夜のほんの僅かな一瞬。
よほどの奇跡が起こらなければ、気付くことは出来ないだろう。
しかし、ガールは薄々勘づいていた。
自分には、そういう奇跡のような低確率の事象を引き寄せる力のようなものがある。
魔法を知らなかった頃に、剣をチェーンソー化させたこと然り、一度死んだハズのヨシコを助けたこと然り。
自分の魔力には、そういう性質がある。
(だから、上手く行けば……)
そう願い続けていると、異変が起きた。
ガールの見上げていた夜空の先に、黒い点が写り、それが少しずつ大きくなり、ガールの視界を徐々に覆った。
「ヨシコ、私はここよ!」
ガールは、思わず立ち上がり、叫んだ。
やっぱり、ヨシコは来てくれた。
おーい、おーいと何度も叫び、目の前に黒竜が着地した。
風圧と土煙が巻き起こる。
「ヨシコ、やっぱり来てくれたのね!」
黒竜に近づくと、その土煙から一人の人物が姿を現した。
「ガール…… やっで、ぐれだな」
現れたのは、ヨシコではなかった。
いくつもの傷を顔に刻んだ、ガールの叔父、ゼルダであった。
肩にはウサギのテリーが乗っている。
「ゼルダおじいちゃん!?」
「ガール、お前ばワジのだぐしだ弟子5人を、じなぜでじまっだ。 ワジば、お前をじょげいじなげればならい」
「……え?」
ゼルダは、背中に担いでいた剣を引き抜いた。
ゼルダが一歩、近づく。
(え、どういうこと?)
「剣をぬげ、ガール」
ガールは、ゼルダの言いつけを守れなかった。
セカンドヴィレッジで託された5人。
本来なら、その5人に魔法を教えるつもりだったが、死なせてしまった。
その事に激昂し、失望したゼルダは、ガールを処刑するためにここまで足を運んだ。
テリーも、ガールを無表情に見つめたまま、一言も発さない。
そうこうしている内に、ゼルダが剣でガールを斬りつけてきた。
「くっ!」
ガールは咄嗟に剣を具現化し、それを受けた。
ところが、自分には戦う気が無い。
簡単に剣は手から剥がれ、遠くに飛ばされてしまった。
(まずい……)
ガールが後退るも、ゼルダはずんずんと間合いを詰める。
ゼルダは目に涙を溜めており、弟子5人のことを大切にしていた、ということが伺えた。
「ガール、がぐごじろっ」
ゼルダが剣を高らかに掲げる。
「ヤアアアアアーッ」
殺される、そう予期したガールは、もう一本、魔力で剣を取り出し、ゼルダの胴を横に払った。
血が噴き出し、ゼルダの命は絶たれた、かのように思えた。
「……!」
テリーが懐中時計を手にしている。
ゼルダの傷も、消えていた。
(しまった)
テリーには、対象の時間を戻す、という魔法がある。
それにより、ゼルダの傷は一瞬にして回復。
全力の剣が、ガールに降り注がれた。




