告白
ナイルの声がする、そう思って近づくと、案の定、ナイルと誰かがそこにいた。
(えっ、アレって……)
ナイルと談笑しているのは、兵士であった。
シルバーの鎧に剣を纏っているが、何やら楽しそうに会話している。
ガールが近づくと、ナイルが気付き、少し待ってくれ、と手で制された。
ガールは頷き返して、少し離れた草っ原に横になって、日向ぼっこで時間をつぶすことにした。
しばらくして、よう、と頭上から声を掛けられ、目を覚ます。
「んっ、この匂い……」
起きあがると、ナイルは手にタバコを持っており、兵士に貰った、と言った。
「アイツ、俺と同い年なんだ。 名前はガイルっつって、少し前に意気投合してよ。 聞いたらラップにも興味があるっつって、一気に仲良くなったんだ」
「そのタバコも貰ったの?」
「ああ、兵士には色んなモンが支給されてて、俺も一本貰ったんだ。 吸うか?」
ガールはタバコを受け取って、口にくわえて吸った。
「……えっほ、えほ!」
「まあ、始めはそうなるわな。 コツは少し口に含んで、それを肺に入れる感じだ。 んで、ふぅーっ、て吐き出しゃいい」
「もう一回やってみる」
ガールは、言われた通り、煙を少し吸って口に含み、肺に入れるように飲み込んで、ふぅっ、と吐いた。
「出来てる?」
「オーケーオーケー。 頭ん中がスッキリすんだろ」
戦いが生業の兵士には、こういうものも必要なのかも知れない。
タバコを吸う意味がガールには分からなかったが、今なら少しは分かる気がした。
こんな娯楽でもなければ、この世界でまともに生きていくのは辛い。
ナイルが、突然、こんなことを言い出した。
「俺、もしかしたら兵士になるかも知れねー」
「……えっ、どしたの?」
「ここにいりゃあ、不自由はねぇけど。 俺だってまだ21だし、ずっと缶詰工場ってのもどうかと思うんだよな」
最近までバイトリーダーを目指す、と言っていたナイルの変わり身の早さに、ガールは若干呆れた。
「そんなコロコロ目標変わってたら、叶わないよ?」
「俺だって悩んでんだよ。 でも、ガイルが言うには、ここでまともに働けてて、年齢の若い男は、兵士に推薦してもいいらしい。 そうなりゃ無条件で一般人に戻れるし、しかも、その彼女も一緒にここから出れるらしい」
「そうなの?」
「そうだよ! ガール、おめぇが俺の彼女になりゃ、こっから出れんだぜ!」
「ちょ、ちょっと、待って!」
「……ダメ、なのか?」
ガールは、顔から火が噴くかと思った。
何気ない会話かと思ったら、いきなりナイルが告白してきたのだ。
「ガール、明日とっておきのもん見せてやっから! じゃあな」
ナイルはそのまま立ち上がり、工場へと戻っていった。
翌日、ガールはナイルから光る石のはまった指輪を受け取った。




