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がーるすぺしゃる  作者: oga
シーサ村
43/69

強制労働

「ガール!」


 ガールの体に鎖が巻き付き、徐々に地面に飲まれていく。


「お母さんっ、ヨシコっ、何、これっ」


 足が地面にめり込み、まるで底なし沼に飲まれるかの如く、ガールは身動き取れず、地面に埋まっていく。


「ガール、今助けるわ!」


 マアムがガールに絡みつく鎖を掴んで、何とか引き上げようとするも、余計に深みへとハマる。

すると、ガールの背後から声がした。


「リミットだ。 身柄を拘束させてもらうぜ」


 声に気が付き、振り向いたヨシコは戦慄した。

そこにいた男は、ファスト・レイクで見たグラサンをした金貸しだった。


「ちょっと待ってよ! 借金は遺体と引き換えにチャラになったハズでしょ!?」


「アレはお前の分だよ。 こっちのお嬢ちゃんの5万シルバーは返して貰った覚えはネェな」


「っの、ゲス野郎!」


「何とでもいいな。 こいつァ奴隷として、死ぬまで働いて貰うぜ」


 咄嗟にマアムがガールの腰の剣を手にし、グラサンに斬りかかった。

同時に、グラサンは魔力を行使して掌から銃を取り出し、乱射。


「伏せてっ!」


 マアムが叫ぶ。

ヨシコ、タオル男はその場に倒れ込み、マアムも弾丸を刀身でガード。

弾けた弾丸が地面に直撃し、砕ける。

辺りに土煙が立ちこめ、それが晴れると金貸しもガールも姿を消していた。


「ガール、嘘でしょ……」


 






 

 気が付くと、ガールは見知らぬ街の地面に倒れていた。


「ここは……」


「目が覚めたようじゃの、ナンバー2007」


 声をかけられ、起き上がる。

そこにいたのは、やつれた老人だった。


「あ、お爺さん、ここは?」


「ここは、借金を払いきれなくなった者が連れて来られる街、「シーサ村」。 別名、監獄じゃよ」


「シーサーですか?」


「シーサ、じゃ。 南の島の魔除けではない。 この村の案内をするから、着いてこい」


 ガールは老人に連れられて、シーサ村を見て回った。

シーサ村には使い捨てられた馬車の荷台などが捨てられており、みな、それを適当に見繕って住まいにしていた。

ガールも空いている馬車の荷台を一つもらい、そこに住む運びとなった。

 次に連れてこられたのは職場であった。

そこは、広大な敷地内に建てられた工場で、みな、缶詰に食料を積める仕事をしていた。

もちろん、奴隷という身分のため、賃金は発生しない。

全て、ただ働きである。


「明日からここで働いてもらう。 よいな」


「……はぁ」


 ガールは訳がわからなかった。

ナンバー2007、という名前を付けられ、毎日工場でライン作業をやらされる。

始めは何とか抜け出そうと試みるも、村は天高くそびえる壁に阻まれている。

次第に、自分の使命も忘れ、ただひたすら仕事をする日々が普通になっていった。


(国と戦うなんて、よく分からないし……)


 いつの間にか母親の敷いたレールを歩まされていたガールは、ガッカリした。

自分が納得していないのに、あんな作戦に加えられても困る。

それに、こっちで生活を初めて、ガールにも密かな楽しみが出来た。

それは、詩を書くということである。

仲良くなった男友達のナンバー2001こと、ナイル。

彼はラッパーだった。

彼に影響されて、ガールも詩を書くようになり、二人は仕事が終わるとよく連むようになっていた。


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