2対2
夕方、タカタコーヒーの向かいにある空き家の窓から、店員が2人出てくるのをガールとヨシコは確認した。
「三つ編みのデコっぱちと、短髪のおとこ女」
「えーと、「イチカ」と「モズク」ね。 三つ編みがイチカで、短髪がモズク」
ガールがコーヒーショップのマスターから貰った名簿リストを読み上げる。
「暗くなる前にやっちゃいましょ。 コレもあるしね」
コレ、とは、エルダーワンド300である。
ヨシコは、自分も戦うためにエルダーワンドβをロッドショップに預け、レンタルという形でこの杖を手に入れていた。
2人は素早く二手に分かれて、ガールはモズク、イチカを尾行。
ヨシコは路地に隠れて2人を誘い込む役である。
「なあ、イチカ。 帰りマッキーよらね?」
「ごめんなさい、今、ダイエット中で」
「ちぇ~、つれねーな、イチカは」
「にゃ~ん」
突然、路地の方から猫の鳴きらしき声がする。
「え、猫?」
「ちょっと、行ってみよーぜ」
モズクが路地へとダッシュする。
待ってよ、とイチカも後を追うと、杖を持ったヨシコがそこにいた。
「んだ、おめー」
モズクがヨシコにガンを飛ばす。
「にゃ~ん、にゃ~ん。 クスクス」
「ぶっ殺すぞ」
すると、出口を塞ぐ様にして、ガールが現れた。
「……ネームプレートを渡して下さい」
ガールが掌から銀の剣を取り出す。
すぐさま、イチカもトンファーを両手から取り出し、モズクも腰に差していたエルダーワンド300を抜いて、構える。
(同じ杖!)
ヨシコは、モズクの持つ杖を見て、そう思った。
ガールの方も、相手は同じ魔力を武器に変換して戦うタイプだが、トンファー程度の細い鉄なら武器ごと相手を斬る自信があった。
(これなら、多分勝てる!)
ヨシコも、伊達に今までロープを使ってきた訳ではない。
(相手より早く、鞭を振るえれば……)
先に動いたのは、ヨシコ。
ヨシコは杖を鞭に変化させ、それを振り上げた。
狙いは、相手の武器を持つ手首。
狙いは正確で、初めて使ったとは思えない程、鞭はうまくしなった。
(決まった!)
相手の動きを封じて、ガールが2人を瞬殺する、そういう手筈だった。
しかし、鞭の先端を弾かれた。
「……えっ」
こちらに、モズクではなく、イチカが駆けだしてくる。
ヨシコが鞭を振り上げた瞬間、それを合図にモズク、イチカは入れ替わっていた。
イチカが右のトンファーで鞭を捌くと、そのままヨシコの脇腹に左のトンファーを叩き込む。
「うぐっ……」
悶絶し、ヨシコは膝をついた。
一方、ガールの方も突然、鞭で体の自由を奪われ、目を白黒させた。
しかも、その鞭は先端がヘビになっており、鞭が首まで絡みついてくると、牙をあてがわれた。
「降参しねーと死ぬぜ?」
「ま、負けましたっ」
決着は、呆気なくついた。




