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がーるすぺしゃる  作者: oga
食料庫、サーターアンダーキ
33/69

タカタコーヒー

「ヨシコ、これ見て!」


 ガールが手にしているのは、「DOWSING WAND 17」と刻印の彫られた杖。

頭には水晶がついており、一見すると巨大なけん玉である。


「ダウジングって、探すみたいな意味だよね?」


「探すってか、何かを探す手法よね。 アンタ、まさかそれでマァムおばさんを探そうっての?」


「と思ったんだけど、いくらするんだろ、コレ?」


「店員に聞いてみなさいよ」


 ガールがダウジングワンドをカウンターにいた黒髪眼鏡の大人しそうな店員に見せる。


「こちらは1500シルバーになりますね」


 内心、結構高いんだと思いつつも、更に質問した。


「これで人捜しをしたいんですけど、できますか?」


「はい、これをこうやって……」


 杖の水晶をぶら下げる。

水晶と杖は糸で繋がっており、欲しいものに近づけるとフラフラと揺れる、とのことだ。


「へぇ~、いいなぁ、これ」


「あ、これも見て欲しいんだけど。 何か、スイッチが見当たらないのよ」


 続け様に、今度はヨシコがエルダーワンド300を店員に見せる。


「これはこうやって捻るんです」


 店員が杖を捻ると、カチ、という音がし、鉄の鞭に変化した。


「スイッチ部分を無くして欲しい、という声があったのでこういった形になったらしいです。 値段は2500シルバーなんですが、ベータ版が出てからすぐの販売ということで、杖をお持ちでしたら下取りするのと、それプラス1000シルバーで交換いたします」


「えっ、この杖と1000シルバーでいいの?」


「はい。 どうされますか?」

 

 現在、ガールたちの手元には45シルバーしかない。


(ムググ…… ここは何としても手に入れたいわね)


 ヨシコがあーだこーだと考えるも、現金は落ちてはこない。

考えてても無駄だよ、とガールがヨシコの手を引いて、一旦外へと出た。


「働きましょ」


「……簡単にいうわよね」


 ヨシコは今まで働いた経験がほとんど無かった。

唯一、メイド喫茶のバイトを体験したことがあったかが、それもたったの一日である。


「ヨシコ、やるしかないよ! 残金45シルバーじゃ、宿に泊まれるかも怪しいよ」


「……喫茶なら、いいわよ」  


「え? 何ならいいの?」


「喫茶店ならいいって言ったのっ」


「喫茶店かぁ~。 じゃあ、探してみる?」


 こうして、色々店を回った結果、一件の喫茶店を見つけることができた。

表通りから少し奥まった路地にある「タカタコーヒー」と呼ばれる店で、店内はカウンターにテーブル席が5つの小さなレトロ調の店である。

早速、2人が店内に入ると、女性のウェイトレスがやって来た。

胸にはネームプレートが付けられており、「アカネ」と書かれている。


「お客様、2名様ですか?」


「あ、すいません。 私たち、ここで働きたくて…… 求人の募集ってありますか?」


「ふぅん…… そういうことね。 マスター、この子ら、求人の募集ないか聞きに来たんだけど、どしたらいい?」


「教えてやってくれ」


「マスターがやってよ。 私、接客で忙しいし」


「はいはい、分かったよ」


 コップを磨いていた白髪の男性がこちらに来る。


「ちょっとこっち来て」


 その男に店内の更に奥の部屋へと連れて行かれると、座って、と言われた。

来客用の少し上等な倚子に2人が腰掛けると、男が話し始めた。


「えーとね、ここは普通に求人の募集はしてないんだ」


「そうなんですか……」


「その前に2人共、冒険者かい?」


「……!」


 冴えなさそうなオッサンだなー、と油断していたヨシコは、一瞬、目を見開いた。


「その杖はエルダーワンドβだよね。 普通の人はあんまり使わない杖だよ。 それと、お嬢ちゃんの方は魔力があるね」


 ガールも驚いた。

思わず掌で口元を隠す。

これまで会った人物の中で、最初の老人以外から初めて指摘されたことだった。


(この人、ただ者じゃない?)


「分かり易い反応だね。 でも、自分が冒険者だってのは簡単にバラしちゃいけないよ。 兵隊が命を狙っているからね」


「ご、ごめんなさい」


「はっはっ、謝らなくていいよ。 でも、これで資格があることは分かった。 ここはただのコーヒーショップじゃない。 冒険者ギルドも兼ねているのさ」


「冒険者ギルド!?」


 冒険者ギルドとは、いわば冒険者たちの集まりである。


「私、オンラインやってたから分かるわ。 まさか、ここがそんな所だなんて」


「ヨシコ、何なの、ギルドって」


「要するに、難しいクエストをみんなで協力してクリアしよう、みたいな団体よね」


 すると、オホン、とマスターが咳払いをした。


「でもね、ウチのギルドは簡単には入れないよ。 入るには条件がある。 ウチにいるメンバー10人の誰かから、ネームプレートを奪い取ること。 その強さがここに入る条件」


 昼はウェイトレスとして働き、夜は冒険者としての任務をこなさなければならない。

正直、夜の仕事の方は2人にとっては余計なものであった。


「……どうする、ガール」


「一つ、聞きたいんですが…… 時給って、いくらです?」


「時給は1時間で10シルバー。 特別任務の達成でボーナスも出るよ」


 日本円にすると、大体一時間1000円。

バイト代としては妥当である。 

更に、任務次第でボーナスも出るとのことだ。


「……プレートを集めればいいんですね」


 ガールはそう言って、店を後にした。

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