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がーるすぺしゃる  作者: oga
食料庫、サーターアンダーキ
30/69

赤い堕天使

 ギャラリーを駅員が押しとどめる。


「みなさま、席に着いて下さい! 列車の走行中にむやみに立ち上がるのは危険です」


 ガールは気になって、席から立ち上がった。


「あんたっ、どこ行くのよ!」


「ヨシコは待ってて! なんか、面白そう」


 ガールは、ザワつく列車の廊下を駆け出すと、止めに入った駅員を股の下をスライディングで抜けた。


「あっ!」


 その先にあったのは男子トイレだが、奇妙な生物がそこにいた。

スーツを身に纏っており、頭にハットを被ってはいるものの、顔は人間ではない。

長いヒゲのようなものを生やし、黒い目と赤の肌。

まるで、ザリガニである。

その顔が、尻餅をつきながらこちらを見た。


「ひ、人が…… 人が死んでる」


 尻餅をついているその生物にも驚いたが、何より、その口から出たセリフに驚いた。

恐る恐るドアノブに手をかけると、背後から怒鳴り声がした。


「勝手に触ってはいかんっ!」


 さっきの駅員である。

首根っこを掴まれると、後ろへと投げられた。


「痛っ……」


「……こ、これは…… 子供は見ちゃいかん!」


 そう言われて、余計気になったガールだが、詳細をザリガニ風の男? に説明された。


「便座に座ったまま男が…… 声を掛けても反応が無かったので……」


「事情、聞いてあげるからついて来て」


 ガールに連れられてザリガニも一緒に座席に戻ってくると、杖をどけてヨシコの隣に座った。

生臭い匂いに目を覚ますと、開口一番、悲鳴を上げた。


「シーッ、ヨシコさん!」


「なっ、何なのよ、こいつ」


「申し遅れました、私の名前はオマール。 とある事情があってサーターアンダーキから離れていたのですが、ほとぼりが冷めたのでこれから帰る予定です」


「アンタの事情なんて知らないけど。 あっちで何があったのよ?」


「人が死んでいました。 あれは、兵隊の服を着ていました」


「人が死んだ? しかも、兵隊なの!?」


 ヨシコが驚く。

ガールは、聞こうか迷ったが、思い切って確認した。


「ヨシコ、あなたがやったんじゃないよね?」


「は、はあっ!? 何で私を疑うのよっ!」


「いや、前にテリーがいなくなった件があったから……」


「私がその兵隊を剣で斬り殺したって? 確かに、私がトイレに行った直後だし、疑うのは仕方ないかもね!? じゃあ、私じゃないって証拠、見したげるわよ!」


 ヨシコは、杖に命じてロープ状にすると、中から剣を取りだした。

その剣はほとんど汚れておらず、血に染まってはいなかった。


「仮に私がやったとしたら、返り血だって浴びてるハズだしね!」


「ごめん……」


 とは言ったものの、返り血を浴びずに殺す方法はある、とガールは思った。

例えば、斬らずに突き刺して殺す、などであるが、ヨシコにはそもそも動機がない。


(それに、少なくとも剣に血がつくわよね。 直前にトイレに行ったヨシコが状況的に犯人っぽいけど……)


 すると、オマールが口を挟んできた。

たった今閃いたんですが、と前置きすると、こう言った。 


「私は、あの赤い堕天使の仕業かと思いましたよ。 彼女が戻って来たのかと」


「赤い堕天使ですか…… ヨシコ、知ってる?」


「さぁね」


「赤い堕天使を知らない!? 赤い堕天使というのは、そうですね…… 冒険者を名乗り、この国の兵士たちを相手取って戦った地上最強の剣士、そのあだ名です。 体にはシルバーの鎧を纏い、両手には剣を、顔はまるで天使のような美しさで、髪は丁度あなたみたいな赤い髪をなびかせていました。 ……私、実はファンだったんですよ」


 赤い髪に、かなりの美人。

地上最強の剣士と聞いて、ガールはまさかと思った。


「その人の名前って、もしかして、マァム?」


「そうです! 知ってるじゃありませんか」


(私のお母さんじゃない! 絶対、間違いない。 もしかして、この列車にお母さんが乗り込んでる!?)


 

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