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がーるすぺしゃる  作者: oga
第二章 武器庫、セカンドヴィレッジ
28/69

苦い経験

 ガールの呼びかけに戸惑ったカボだが、曖昧な返事をした。


「……お、おう」


「やった、じゃあ、明日にでも、また伺うので!」


 ペコリ、と一礼してから、ガールはその場を離れた。


(たった一度負けたからって、それで終わりじゃないよね)


 また何度でも戦えば良い。

いつかはカボも認めてくれるはずと、そう思っていた。

しかし、その日の夜、ガールが深い眠りについている頃、事は起こった。

深夜、カボ、ナスビ、ゴン、ネギ、スナックの5人は街の火薬庫の前に集まった。

そして、そこを守る衛兵を殺し、戦いの火蓋は切って落とされた。

それから数時間後、5人は全員、殺された。








「……どういう、こと…… へ?」


 ガールは立ち尽くしていた。

自分が目を覚ますと、ヨシコが枕元に立っていた。

そして、目の前には見知らぬ木箱の様な物が5つ。

何これ、と問うと、一つの木箱の蓋をずらした。

その中に眠りにつくように、カボの姿があった。


「昨日の夜、あいつらおっぱじめたのよ。 火薬庫を守ってた兵士を殺して、火薬を袋に詰めて奪って、奇襲を仕掛けたの。 街の詰め所にいた兵隊5人が重症、その他壊された溶鉱炉の数は15か所。 すごい騒ぎだったんだから」


「……ヨシコ、何、言ってんの」


 ガールは、ヨシコの言葉の意味がまるで入ってこなかった。

ヨシコが、ガールの肩を強く掴むと、言った。


「しっかりしなさいよっ! 5人は死んだのよ。 でも、死体は手に入れた。 私、5人の後を追って、成り行きを見守ってた。 もう、止めても遅いって分かってたから、この杖を使って、何とか遺体を集めたのよ。 ガール、私たち、金貸しから解放されるのよ!」


 ガールは、目の前の棺桶を見た瞬間、頭では理解していた。

自分の知らぬ間に、5人は死んだのだ、と。

しかし、受け入れたく無かった。

自分のほっぺを抓り、目、覚まして! と叫んだ。


「早く起きて! これは夢っ」


「馬鹿言ってんじゃないわよっ」


「うっ、うわあああっ」


 ガールは、その場に崩れ落ちた。

金貸しが現れ、棺桶を回収した後も、まだその場から動けなかった。

ガールは、スナックの言葉を思い出していた。

力が無ければ、未来は変えられない。

自分の甘さを、ガールは痛感していた。








 一ヶ月が経過した。

その間、ガールとヨシコはチカの住むアパートに泊めさせて貰っていた。

他に知り合いがいなかったのと、ガールのあまりの憔悴っぷりに、チカが許可した。


「しばらく泊めてやってもよいが、「貸し2」じゃぞ。 二人とも」


「あ、ありがとうございます」


「……」


 ガールは心を閉ざし、魔法で作ったついたてで自分の空間に引きこもっていたが、久しぶりに顔を出した。


「ガール、大丈夫?」


「……私、もう元の世界に戻りたい」


 ガールの口から出たのは、ギブアップの言葉だった。

ガールは、ずっと母親の言葉が頭をループしていた。

冒険者なんて、ロクなものではない。

まさに、その通りだとガールは思った。

 

「お母さんに会えれば、元の世界に戻る方法、分かると思う」


「アンタの母親もこっちにいるんだったっけ。 それなら、チカに聞いてみましょっか」


 チカを呼び出し、以前、5人を探し出した時の魔法を使う。

コーヒーの染みが、地図を移動してガールの母親の場所を示す。


「これはあくまで参考じゃ。 確実ではないが、主の母親はどうやら、この次の街、サーターアンダーキ、にいるようじゃな」

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