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がーるすぺしゃる  作者: oga
第二章 武器庫、セカンドヴィレッジ
26/69

ご都合展開?

 アームレスリングの会場は工場地帯と住宅街の間にある中央広場。

既にガールとスナックは会場入りし、抽選を決めるボックスに手を突っ込み、数字の書かれた用紙を抜き取った。

そこに書かれていた数字は「2」。

ガールは初戦、「1」の数字を引いた者と戦うこととなった。

その相手は、前回準優勝のブレイブという黒人男性だった。

身長2メートル、体重120キロの筋肉質な巨漢である。


「アンタって、マジでくじ運ないわね」


 スナックがボソリ、と呟く。


「大丈夫ですよ。 私、今は負ける気がしません」


「……とにかく、特訓の成果に期待するしかないけど、負けたらダサいわよ?」


「スナックさん、私、ここに来てから何度も奇跡を起こしてるんです。 見てて下さい、三度、起こして見せますから」


「ゴタクはいいから、いってらっしゃい!」


 バン、と平手でガールのケツを叩くと、スナックはガールを送り出した。


「レディースエンドジェントルマン、これより、アームレスリング大会を開幕します。 記念すべき初戦は、ガールVSブレイブ。 両者、前へ!」


 中央に歩み出ると、2人は倚子に腰掛け、テーブルに肘を乗せた。


「おい、こりゃあ、どーやって組むんだ?」


 ブレイブの手のひらはガールの5倍以上あり、どうやっても組むことが出来ない。

すると、ガールの右腕が青白く光った。


「これで、組めるでしょ?」


 魔法によって具現化された、義手。


「おいおい、レフェリー、こりゃあ反則じゃねーのか?」


 レフェリーは首を振る。

どうやら、試合続行のようだ。

お互い、手を組み交わす。


(妙に落ち着いてる。 スナックさんの特訓のお陰だ)


「レディー……」


 ガールは、一気に集中した。

刹那、ギャラリーの中に腕を組んでこちらを見守るカボの存在に気付く。  

ガールの闘志に、火が付いた。


「ゴッ」


 ドオン! という轟音が轟く。

片方の腕が一気にテーブルに叩きつけられ、砕け、木片が辺りに飛び散る。

勝負は一瞬で決した。


「ッギャアアアアアアアーーっ」

 

 ガールの青い腕は、台風が通過した後の大木の様に、へし折れた。


「勝者、ブレイブ!」


「うでがあああっ、うでがあああっ……」










「がはあっ」


 ガールは、目を覚ました。


「……えっ、ゆ、夢? 悪夢?」


 ガールの額には脂汗がべっとりと滲んでいた。

部屋を見渡すと、すぐ横にはネギがすやすや寝息を立てて眠り、スナックは壁にもたれてグゴ、グゴゴ、と眠っている。


(そうだ、眠る前にスナックさんにマッサージしてもらったんだ。 お陰で肩が軽いや)


 ガールは物音を立てないように、忍び足で部屋から抜け出した。

そして、ある思惑を抱いて、男子らの宿舎へと向かった。


(アームレスリングで勝ち進まなくたって、カボさんを納得させる方法はあるハズ)


 毎日鉄を扱っている屈強な男を倒して、カボまで辿り着くのは現実味が無い。

ガールは今朝の夢を見てそう感じ、別な手段を取ることにした。

男子らの宿舎の前まで来ると、扉をノックした。

扉を開けて現れたのは、ナスビ。


「何? まだ早くない?」


「あっ、ごめんなさい。 あの、カボさん、起きてます?」


「……ちょい待ち」


 ナスビが引っ込むと、しばらくしてカボが現れた。


「一体なんだよ。 ふあ~あ……」


「アームレスリングのことは忘れて、私と剣で勝負してくれませんか? あなたを認めさせるのに、わざわざ腕相撲しなくていいかなって」


 しばらく間があって、カボが笑った。


「はっ、ちげーねーわ。 おめぇじゃどうやっても勝ち進めねぇだろうしな。 ちょっと待ってろ」


 こうして、カボと剣による勝負が早朝行われることとなった。

部屋に戻ったカボは身支度をして、まだ誰もいない道路の中央で剣を抜いて構えた。


「お前の得物は?」


 ガールは、体の中の魔力を右の手のひらに集中させた。

さすがに、この前みたくチェーンソーを取り出すわけにはいかない。

代わりに、白銀の剣を具現化させる。


「……っと」


 カボがその刃を見て、冷や汗を流した。

それほどまでに、その剣は研ぎ澄まされていた。




 

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