ホラー映画かよっ
「あのっ、助けに来ました!」
「わああっ、ジェイソンだっ」
ゴンが驚いて尻餅を着く。
辺りは霧がかっており、しかも激しく回転する刃の音でガールの声は届かない。
「畜生、なんでジェイソンまでいんだよ!」
カボが更なる強敵が現れたと勘違いし、地団駄を踏む。
すると、スナック(名前思い出した)が叫んだ。
見てくれは筋肉質な、乙女系男子である。
「ンねぇ、何だか様子、おかしくないかしら? アイツら、仲間割れしてるンじゃない?」
先刻、真っ二つにされたスカル・ナイトの片割れを見て、どうやら種族間で争いが起こっていると、スナックは推測した。
「なるほどな、そりゃあ都合がいいぜ! アイツらが潰し合うのを待つか」
カボがガッツポーズをする。
一向に動かない5人を見て、ガールはアレッ、と思った。
(えっ、ちょっと、私一人じゃキツいんだけど……)
チェーンソーの重量はおよそ20キロ。
少女が振り回すには、かなり重い。
その証拠に、ガールの動きは鈍り、相手も警戒して踏み込んでこない。
「うにゃあ、うにいいいっ」
左右のスカル・ナイトに挟まれる形となり、ガールは相手を遠ざけるのに必死である。
その時、一匹のスカル・ナイトが仲間の亡骸の頭蓋を手にして、振りかぶった。
「ちょ、まっ……」
一方、取り残されたヨシコは、その場に立ち尽くしていた。
目からは、拭っても拭っても涙が溢れた。
「くそ…… くそっ……」
何故、自分には友達が出来ないのだろうか。
(何でよ…… 何で……)
昔から、ヨシコは人と話すのが苦手だった。
気付けば、クラスでは浮いた存在になり、寂しさを紛らわすように、毎日空想を膨らませて遊んでいた。
そんな孤独な日々が、高校に進学してガラリと変わる。
顔が良く、体の発育も良かった彼女は、男子生徒からしょっちゅう声をかけられていた。
「なあ、一緒に帰らね?」
「あっ、わ、私、ごめんなさいっ」
「……んだよ、アイツ」
しかし、ここでも口下手が災いし、一ヶ月もすれば、まともな男子から声をかけられることは無くなっていた。
いつの間にか、ヨシコに近づいてくるのは、体目当てのナンパ男のみ。
自暴自棄になりかけていた彼女は、勢いでそんな男性と関係を持ってしまう。
背中に入れ墨をいれた、ヤクザの男であった。
その男と付き合うことになったが、ある日、無理矢理いかがわしい店で働かされそうになり、ヨシコは抵抗した。
男とは別れたものの、心身に傷を負い、男性恐怖症となる。
(もう、誰も信じられない……)
外に出れなくなった彼女の唯一の癒しはオンラインゲームであった。
そこで、初めて仲間とも呼べる相手も出来た。
ヨシコは、ネット上の友達とはいえ、嬉しかった。
自分にはまだヒーラーとしての需要がある。
(私、ヒーラーとしてなら、生きていける!)
そして、こちらの世界へとやって来た。
ところが、オンライン仲間と対面するも、自分に魔力が無いという現実を知り、再びヨシコは打ちのめされた。
(ゲームオーバー、ね)
そして、なんやかんやあって、何一ついいことの無かった人生に、自分で幕を下ろそうとした。
首にナイフをあてがって、引き切った。
真っ暗な海に落ちていくかのような感覚。
(ダメダメだったな、私の人生…… これで、お、わ、り……」
「ちょっと辛いからって、諦めちゃダメだよ!」
どこからともなく、声がした。
気が付くと、ヨシコは杖を持って走り出していた。
ガールがチェーンソーを振り回しながら、必死に戦っている姿が目に映った。
(あなたがいれば、私はまだ頑張れる。 あなたは、私の唯一のガールフレンド、ガール・スペシャルよ)




