チュートリアル終了
「だっだら、選ぶがいい。 5人ば、ごのざぎのぼぢでだだがっでいる。 だずげにいがなげれば、やられるだろう」
「……っとに、 聞き取りにくい声ね。 アイツらがどうなろうと、知ったこっちゃないわよ。 アンタが助けに行けばいいじゃない」
「ずげだぢば、ぜん。 ごほっ、ごほっ……」
「はあ!? 何なのよ、アンタ! わざとらしく咳なんかしてるけど、そこのウサギで治せば済む話でしょ?」
ヨシコが癇癪を起こしてまくし立てていると、テリーが間に割り込んできた。
「私のこの時間を戻す能力は、24時間前までが限界です。 長い間患っている病気などは、治すことが出来ません」
「そんなの、聞いてないわよっ。 絶対、後付け設定でしょ!」
「どにがぐ、わじばいぐ。 あどば、ガール、おまえがぎめるんだ」
しかし、ガールは俯いたまま、ボソリと答えた。
「……助けに行きたいけど…… 私にそんな力ないよ……」
いつの間にか、ゼルダの肩によじ登って座っていたテリーが言った。
「ガールさん、あなたにはすごい力がある。 ここに来る前にお母様と戦った時のこと、思い出して下さい」
「お母さんと戦った時のこと……」
ガールは、はっ、としたような顔つきになった。
「……もう一度、できると思う?」
「あなたに不可能はありません。 チュートリアルはここまでです。 さぁ、勇気を出して進んで下さい」
(そっか。 テリーはゲームのチュートリアルみたいなものだったのね。 チュートリアル、てゅーとりある、てーとりある、てーとりあ、てりー…… ちょっと無理やり感はあるわね)
ガールは顔を上げて、言った。
「私、行くわ」
「ちょっと待ってよ!」
ヨシコがガールの腕を取る。
「私を捨てる気なの? 行かないでよ……」
ガールは、その腕を振り払った。
「放してっ、いい加減にしてよ! 私、あなたとずっと一緒なんて無理っ。 しばらくいて分かったけど、問題があるのは友達じゃなくてあなたでしょ? 勝手に飛び出して、危険な目に合って、自業自得だと思う。 私はあなたのことはこれ以上助けないからっ」
そう言い残すと、ガールは霧の中へと走り去って言った。
あまりの剣幕だった為、一瞬気後れしたヨシコだったが、ガールの背中に向かって叫んだ。
「ふ、ふざけんなよっ、馬鹿やろーっ、死ねっ、死ねーーっ。 はあっ、はあっ……」
一方、墓地では、ナスビ、カボ、ネギ、ゴン、あと名前忘れた、がお互いの背をカバーしながら、円陣を組んでいた。
その5人を狙って、人間のガイコツに悪霊が宿ったモンスター、スカル・ナイトが迫る。
「クッソ、アイツら、剣が通じねぇ」
冷や汗を垂らしながら、黒髪短髪のガタイの良いカボが呟いた。
「ダメだ…… 前髪が汗でベチャベチャだ……」
剣を股に挟んで、必死に前髪を整えるナスビ。
モジャモジャ頭のネギが、自分の背中に隠れている金髪のホスト風の容姿をしているゴンに言った。
「ね、ねぇ、ゴン君。 男の子なんだから、私の後ろ、隠れてちゃダメ、かなぁ」
「僕、ネギちゃんのこと、絶対守るから」
「お前、ざけてんのか? ゴン」
カボがイライラしながら剣を構える。
5人は完全に包囲されており、敵の数は5体。
絶対絶命と思われた、その時だった。
霧の奥から、ドゥルン、ドゥルン、という音。
そして、1体のスカル・ナイトが縦から真っ二つに両断された。
「えっ、誰!?」
「ガチャガチャ、ガチャガチャ」
他のスカル・ナイトが突如現れた何者かに剣を掲げて突進するも、弾かれ、体を分断される。
キュイイン、という音と共に、2匹、3匹と葬る。
現れたのは、回転する電動の刃を携えた、女子。
「ゼルダおじいちゃんに言われて、助けに来ました!」
ガールは、そう言って更に残りのスカル・ナイトに向き直った。




