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がーるすぺしゃる  作者: oga
第一章 始まりの街、ファストレイク
2/69

「うっ、わあああああああーっ」


 盛大な水しぶきを上げて、ガールは水面に落ちた。

水中でガールはパニックに陥る。


「ゴボッ、ガボッ」


 何故、自分は水中にいるのか。

さっきまで、確かに自分の家にいた。

その後、母親と戦い、途中から割り込んできた兄の魔法? によって、今、自分は水中にいる。


(テリーは……?)


 目をうっすら開けて、辺りを見回す。

水中は暗く、ほとんど見渡すことが出来ない。

ウサギのテリーの姿も無かった。


(このままじゃ、溺れて死んじゃう…… そうだ、太陽の明かりを目指して泳げば……)


 そう思ったが、上も下も、どこを見渡しても薄暗い。

もしかしたら、昼ではないのかも知れない。

別世界? へと飛ばされて早々、自分は死んでしまうのか?

こんなことなら、母親の言うとおりにするべきだったのか?

そんな考えが過ったが、ガールは気持ちを改めた。


(弱気になったらダメ! せっかく、冒険者になるって決めたんだ。 確率は二分の一、どっちかに泳いで行けば……)


 感覚を頼りに、上を見定め泳ぎ始めたその時、ガールはそれとは逆方向から何かが蠢くのを感じた。

目を閉じると、より鮮明にその塊を感じることが出来る。


(アレは!)


 その塊の方を見やると、巨大な鯨の様な生物を発見。


(あの中に逃げ込めば、酸素があるかも……)


 ガールは、一縷の望みを託し、その鯨の方へと向かった。








 ガールの予想は的中した。

鯨に近づくと、食べ物と勘違いしたのか、口を大きく開けて、ガールを多量の海水と共に飲み込んだ。

鯨の体内には気泡があり、水面から顔を出して、どうにか酸素を肺に取り込んだ。


「はあっ、はあっ……」


 しかし、問題はここからである。

一命は取り留めたが、次はどうやってここから脱出すればいいのか。

周りは完全な闇で、このままではいつか鯨の胃酸に溶かされてしまうだろう。


「……何か、いる」


 ガールは、先ほど感じた塊を頭上に再度、確認した。

しばらくして、闇に目が慣れると、何かが胃袋の上の方にぶら下がっている。


「……箱?」


 木箱のようなものか。

ガールは、必死に叫んだ。


「あのっ、誰か、いるんですかっ」


 普通なら、そんな所に言葉の通じる生物がいるとは思えないが、何もしなければ死ぬ。

ガールが叫び続けると、木箱についていた扉が開いた。


「なーにしてんだ、んなとこで」


 若干しわがれたような声。

ガールは、ここぞとばかりに叫んだ。


「あっ、あのっ、助け…… 助けて下さいっ」


「……ちょっと待ってろーい」


 しわがれた声の主は、木箱の中からロープを取り出し、それをガールの方へと垂らした。

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