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がーるすぺしゃる  作者: oga
第二章 武器庫、セカンドヴィレッジ
19/69

ゼルダの伝言

 師匠、と呼ばれる謎のヒゲ面の男を先頭に、チカのかつての仲間たちが居酒屋を後にする。

そして、住宅のひしめく一帯を目指し歩き始めた。

ガールがヨシコ、テリー、チカの3人の顔を見回して言った。


「追いかけましょう。 周りが煙っぽいから、見失っちゃうわ」


 しかし、ヨシコは余裕をかましながら、こう答えた。


「あなただったら、相手の魔力が分かるんだから、見失わないわよ。 逆に、こっちの方が姿が隠れて都合がいいわよ」


 ヨシコの言うとおり、ガールは5つの小さな魔力を感じることができた。

マフラーで口を覆いながら、ややくぐもった声でチカが言う。


「尾行には都合がいいかもしれんがな。 この煙で肺をやられるものが後を絶たん」


「結局、この煙って何なんですか?」


「武器を作るのには鉄がいるじゃろ。 それらを溶かすための炉から出る煙じゃな。 あまり体にいいもんじゃなかろう」


「……だから、何か鉄臭かったのね。 って、アレ、テリーは?」


「こっちですよー!」


 ガールが周りをキョロキョロしていると、数メートル先からテリーの声がした。


「早くー!」


「ちょっと、テリー、あんまり大きい声出したらダメよ」


 小走りでテリーの方へと向かう。

前を進む6人は、ランタンで足元を照らしている。

ガールは、それを頼りに後を付けた。


「あっ、テリー!」


 何故か、急にテリーが走り出した。


「待ってよ!」


 ガールも慌てて走り出すと、前方に行く手を塞ぐように、誰かがランタンを掲げて立っている。


「……?」


 その誰かのすぐ横にテリーも立っており、ガールたちの方を無表情で見つめている。


(何でテリーがあっちに…… てか、私たちの尾行、バレてたの?)


「よぐ、ぎだのぅ」


「……」


 声は酷くしわがれている。

霧で顔はよく見えなかったが、相手はもう一歩こちらに踏み込んで、顔を覆っていたフードをどけた。

ランタンの明かりに照らされて、男の顔が浮かび上がる。

ヒゲ面の、傷だらけの男。

師匠、と呼ばれていた男だ。

ガールは、相手が武器を手にしたらこちらも応戦する構えだった。

しかし、男は予想外の言葉を口にした。


「ガール、わじだ。 ゼルダだ」


「……ゼルダ? ……ゼルダって、う、嘘でしょ…… ゼルダおじいちゃん!?」


 目の前の男は、何を隠そう、ガールをこちらの世界へと呼び寄せた張本人、ゼルダであった。


「ガール、何なのよ、コイツ」


 ヨシコは目の前の男に不信感を抱いていたが、ガールが自分の叔父だと答えると、目を丸くした。


「えーーっ、あなたのおじいちゃんなの!?」


「そうみたい。 写真でずーっと昔の顔しか知らなかったけど、名前は合ってるわ。 ……テリー、あなた、私をおじいちゃんに会わせるためにここに誘導してきたの?」


「……いえ、これは偶然です。 偶然、チカさんがゼルダ様まで私たちを導いて下さったのです。 私としても、とても手間が省けました」


「ワシ、役に立ったんか?」


「ええ、とっても」


「じで、ガールよ。 お前を呼んだのにば、わげがある。 ごっふ、ごふ…… わじのがわりに、ごごにいるメンバーのリーダーをやっでぼじい」


「……えっ」


「わじば、ごのどおり、がらだにがだがきでおる…… ぞう、ながぐはないのだ」


 ガールは、聞き取りにくい声に一生懸命耳を傾けた。

話によると、叔父はずっとこの街で鍛冶職人をしつつ、元の世界から紛れ込んできた者たちの面倒を見ていたらしい。

叔父には魔力が無かったが、手先が器用だった為、武器防具を作ることが出来た。

しかし、長年煙を吸い続けて、肺をダメにしてしまった。

自分が長くないことを悟って、ガールを呼んだ、とのことだ。


「おばえにば、魔力があるらじいな。 でりーがら、ぎいだ。 ぼがの5にんに、魔力のづがいがだを、じなんじでやっでぼじい」


「ちょっと、待ってよっ!」


 ヨシコが、会話に割って入る。


「あの5人に魔法の指南!? 私はアイツらと一緒に行動なんて、まっぴら御免だから!」

 

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