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がーるすぺしゃる  作者: oga
第一章 始まりの街、ファストレイク
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選択肢は3つ

「ちょっと、待ちなさいよぉ~っ」


 振り返ると、すっかり元気そうなヨシコの姿。


「わ、私を勝手に助けておいて、そのまま行っちゃうつもり!?」


「あっ、ご、ゴメンなさい……」


 相手の強い口調に、思わず謝ってしまうガール。


「ば、バカ、違うわよ。 ゴニョゴニョ……」


「……? 何ですか?」


 赤面して、真っ直ぐガールを見れないヨシコだったが、生まれて初めて、相手に対してこの言葉を使った。


「た、助けてくれて、ありがとね……」


 すると、ガールは満面の笑みになって答えた。


「良かった~! 勝手に助けちゃって、怒られたのかと思っちゃった」


「……」


 その後のセリフには無かったが、ヨシコは自殺したことを後悔していた。

ナイフを首に突き立て、地面に伏してから、意識はハッキリとしていた。

どんどん深い闇に落ちていく感覚。

何とかそこから這い上がろうともがくが、体は全く動かない。

死ぬとこんな風になるのか、とヨシコは思った。

意識は体を動かそうともがき続け、それが永遠に続く。

そんな中、声がした。

その声のお陰で、こちらへと戻ってくることが出来た。


「……あっ、待ってよ」


 再び、自分を追いて先に行ってしまったガールたちを、引き留める。


「まだ、何か?」


「……私も、連れて行きなさいよ」


「えっ! ……えーと、どうしよ、テリー」


「仲間は多い方がいいかと。 私は構いませんよ」


「私も、全然。 じゃあ、行こっか」


「やった~!」


 こうして、ヨシコが仲間になった。

とは言え、これから先、行く当ても無かった3人は、とりあえず有り金がいくらあるのかを計算して、どこに向かうのかを話し合うことにした。

噴水広場の噴水のふちに腰掛け、意見交換をする。


「とりあえず、異世界の冒険者の死体を集めないといけないのよね……」


 ガールが深いため息をつく。

死体集めなど、乗り気になれるハズがない。


「確か、ヘンドリクセン王が懸賞金をかけてるのよね」


 ヨシコが言うと、テリーが補足を始めた。


「そうですね。 近頃、ヘンドリクセン王は異世界への進出を狙ってるとのことです。 それを聞きつけた冒険者たちが、ヘンドリクセン王と敵対して、今、戦いが勃発しています」


「えっ、ここの世界の王様が、こっちの世界に来ようとしてるの!?」


 ガールは、困ったことになった、と思った。

何故なら、自分の元の世界を守ろうとしている人間を、自分は殺さなければならないからだ。


「金貸し連中をまけないかしら?」


 ヨシコが腕を組んで提案する。


「ガールさんの魔力と顔が割れてるんで、厳しいかと」


「……選択肢は3つね。 一つ目は普通にお金を稼いで利息含めて返金。 二つ目は冒険者の死体を5体、金貸しに引き渡す。 最後は、このまま何とか逃げ切る」


「……」


 最良の選択肢が見つからない中で、ヨシコが立ち上がる。


「まあ、悩んでても仕方ないし、とりあえず行かない?」


「えっ、どこに?」


「アレよ」


 ヨシコな、街の奥の方を指差した。

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